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ばら撒くよりも、カネを動かせ

「贈与税改正」発案者が語る経済危機対策

2009年4月15日(水)

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 株価が上向かない。政府・与党は4月10日金曜日、過去最大の財政支出となる追加経済対策を決定したが、週明けから日経平均は前日を下回っている。

 財政支出の金額は15兆4000億円で、事業規模56兆8000億円に達する。名称は「経済危機対策」。2009年度の実質GDP(国内総生産)の成長率を2ポイント程度引き上げ、年間で40万~50万人の雇用創出を目論む。

 景気対策は、お金のばら撒きに主眼が置かれがち。特に今回は、衆議院の解散という争点もあり、現職議員からも「選挙対策だろう」という冷ややかな声も出てくる。これを裏付けるかのような市場の評価となった経済危機対策。そんな中で、早くから話題に上っていたのが生前贈与の減税。財政支出せずに景気を刺激できるためだ。

 現行の非課税枠は110万円だが、今回の税制改正により、住宅の購入・改修であれば500万円引き上げ610万円まで非課税となる。この実現に向けて意欲的に取り組んできたのが、自民党の田村耕太郎議員だ。これまで政府紙幣や無利子国債など“常識を超える”政策を提言してきた田村議員に贈与税減税を打ち出した狙いについて聞いた。

(聞き手は日経ビジネスオンライン 戸田 顕司)

 ―― 住宅に限ってですが、生前贈与の税優遇処置が経済危機対策に盛り込まれました。

 田村 耕太郎 最初は贈与税率そのものを引き下げる、非課税枠の対象も住宅だけでなく、自動車や教育のローンも含めて3500万円にするといった話もありました。麻生太郎総理も我々の提言に前向きでしたし、政府も乗り気で、かなり好感触だったのですが…。最後はこうなってしまった。

残念だった金持ち優遇批判

 ―― 何が障壁となったのですか。

 田村 金持ち優遇批判ですね。これは、非常に幹部の皆さんが恐れたところです。「金持ちに対する減税」という響き。これが選挙前に変な形で争点となるのを嫌がる向きがあったようです。

最後の最後で巻き返しされた方がいらしたようで…。500万円の話も危なかった。贈与税が話題になった時、不動産関連の株が上がったでしょう。期待した関係者をがっくりさせたくなかったので、頑張ったのですけどね。

 ―― 贈与税の措置は、金持ち優遇ではない?

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)氏
1963年7月鳥取県生まれ、45歳。米エール大学大学院修了。山一証券で企業のM&A仲介を担当、新日本海新聞編集局長などを経て、2002年から参院議員(当選2回)。元内閣府大臣政務官で、参議院国土交通委員長を務める。趣味はキックボクシングやラテンダンス。(写真:村田 和聡、以下同)

 田村 根本にあるのは、所得の世代間格差の解消です。相続人の平均年齢を調べると、なんと68歳なのです。

 ですから、ざっくりと90代から70代へ資産が移転しているということです。教育ローンや住宅ローンなどで一番きつい30代~50代前半にお金が回っていない。その人たちの所得を増やす。まさに世代間の格差を是正するところに、贈与税改正という作戦の妙があるのです。

 お金は持っている人に使ってもらわないと。ない人に「使え」と言っても、それは「借金しろ」ということですから。使ってもらうには、インセンティブを与えるのは当然だと思います。そのお金が消費や投資に向かえば、経済を活性化でき、結果としてお金持ちでない人にも恩恵が行きます。

 それだけではありません。今回は実現しませんでしたが、贈与税率を下げれば、移転する金額が増えることが見込まれますので、税収も伸びます。現在、贈与には最大50%の税率が課せられるとあって、なかなか資産の移転が進みません。贈与による税収は年間600億円もありませんから。

 ところが、贈与税を現在の累進課税から、3年間一律10%にするだけで、合計で400兆円が動くという専門家の試算があります。400兆円ですから、税収は40兆円になる。この分を生活困窮者への対策に充てれば、貧富の差を解消できます。

 ―― 説明をしても理解が得られなかった…。

 田村 金持ちにカネを使ってもらうことは今の事態では正しいから堂々としてくださいという議論は何度もしたのですが。でも、住宅の500万円でも、ないよりはましでしょう。

コメント31件コメント/レビュー

ほんの2年前、戦後最長の好景気といわれながら給与所得は増えませんでした。だから、一般庶民としては、また景気が回復しても給与が増えるなんて、楽天的な考えはできません。景気回復のため、富裕層にお金を使ってもらうのは良いですが、税収の辻褄を合わせるために消費税を増税されたのでは、生活が苦しくなるだけです。給料で生活している人に何か直接的なメリットが無い限り富裕層優遇と批判されることを避けることはできないでしょう。(2009/04/18)

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「ばら撒くよりも、カネを動かせ」の著者

戸田 顕司

戸田 顕司(とだ・けんじ)

ビジネスメディア編集部長

「日経ビジネス」兼「日経ビジネスオンライン」「日経トップリーダー」の副編集長、「日経レストラン」編集長、日経トップリーダー事業開発部長などを務め、2017年4月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

ほんの2年前、戦後最長の好景気といわれながら給与所得は増えませんでした。だから、一般庶民としては、また景気が回復しても給与が増えるなんて、楽天的な考えはできません。景気回復のため、富裕層にお金を使ってもらうのは良いですが、税収の辻褄を合わせるために消費税を増税されたのでは、生活が苦しくなるだけです。給料で生活している人に何か直接的なメリットが無い限り富裕層優遇と批判されることを避けることはできないでしょう。(2009/04/18)

どこまでも「社会主義」的な発想が抜けない日本人が、いかに多いかが分かりますね。「金持ちのお金は全部政府が取り上げて、貧しい人に平均的にばら撒いてくれる」と、信じているということでしょうか? 取り上げられたお金が、天下り役人や無駄な政策に注ぎ込まれて、死に金になっているのは、周知の事実ではないのでしょうか。民間銀行に新しいお金をじゃんじゃん刷らせて、困っている中小企業に融資させれば良いのでは? 深刻な不況の時にお札を刷って切り抜ける方法は、19世紀のイギリスでも使われた手法です。狭い枠内での思い込みから脱する必要があるのでは?(2009/04/17)

コメントされている方々は最初の一人がお金を使うことの有用性をあまりにも軽く見ているのでは?贈与により孫世代が家を作りやすくなればその波及効果は建設・家具・家電など絶大です。今の子ども世代夫婦なら2組の親と4組の祖父母が居るわけで、そのうち一組くらいは相当貯金していると思いますが。それに相続税・贈与税100%にしても今の日本では埋蔵金や無駄な道路になるだけではないですか。金持ちを貧乏にしても貧乏人は貧乏なままです。金持ちのお爺さんお婆さんに気持ちよく消費してもらえるようにしましょうよ。(2009/04/17)

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