「これまでシスコシステムズとはネットワーク分野で協業してきたが、サーバーに参入するとなると局面は変わる」。シスコが国内サーバー市場への参入を発表した翌々日、日本IBMの橋本孝之社長は新たな競争相手の登場に、気を引き締めるように語った。
シスコは4月7日、自社開発したサーバーを6月までに日本国内で販売すると発表した。

シスコはルーター(経路制御装置)やスイッチ(回線切り替え装置)などで圧倒的なシェアを持つ世界最大のネットワーク機器メーカー。これらの機器とサーバーを統合し、「ユニファイド・コンピューティング・システム」として売り出す。シスコは従来、サーバー市場で高いシェアを持つ米IBMや米ヒューレット・パッカード(HP)と一種の“共存関係”にあったが、今後はサーバーで真っ向からぶつかることになる。
8兆5000億円市場を狙う
ネットの普及を背景に業績を伸ばしてきたシスコだが、2008年11月〜2009年1月期決算ではルーターなどの不振が響き減収減益となった。そのため、新たな市場に成長の軸足を移そうとしている。
狙うのは「クラウドコンピューティング」の進展により重要度を増しているデータセンター市場だ。日本法人のエザード・オーバービーク社長兼CEO(最高経営責任者)はこう語る。「世界のデータセンター市場は850億ドル(約8兆5000億円)規模に成長した。日本市場でシスコは50億ドル(約5000億円)の売り上げ機会がある」。
不況によりコスト削減を迫られる企業は、自前でサーバーを保有するのではなく、「雲(クラウド)」の向こうにあるデータセンターにデータを預け、そこからネットを通じてサービスを受ける方針に転換しつつある。そこでカギとなるのが、サーバーとネットワーク機器の連携強化だ。シスコがサーバーに参入した真意はここにある。
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