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人間は感情の動物、これでアイデア生む

全米150万部のベストセラーとなった著者に聞く

  • 大野 和基

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2009年4月28日(火)

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 スタンフォード大学ビジネススクールで、組織行動論を専門として教鞭を執っているチップ・ハース教授は、「記憶に焼きつくアイデアの作り方」についての講座を持っている。

 受講する学生は、シリコンバレーで起業、工学で製品設計を専攻、将来、映画撮影を希望――など様々だが、彼らに共通しているのは、何かアイデアを思いついても、そのアイデアを人々の記憶に残る形で実現する手段が思いつかないこと。

 ハース教授は弟のダン氏とその手法を解明すべく作業に乗り出した。8年の調査を含め、10年以上かけて見つけた法則は6つ。それは単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情、物語性。Simplicity、Unexpectedness、Concreteness、Credible、Emotional、Storyの頭文字をつなげて、SUCCESsの法則とハース兄弟は呼ぶ。

 ハース教授はこの理論を『アイデアのちから』(日経BP社、著書の原題は「Made to Stick」)にまとめると、全米でベストセラーになった。この結論にたどり着いた理由について、ハース教授に話を聞いた。

 ―― 最初の原則である「単純明快(simplicity)」を、シンプルに説明してください。

 チップ・ハース 小泉純一郎首相の時に郵政民営化を争点にした選挙を行いましたよね。これも、「単純明快」の1つの例だと思います。

 非常に複雑な政治情勢をはじめ、ややこしい組織の事情がある中で、「これこそが重要な課題だ」と提示したわけです。政治的姿勢としては驚いてしまうくらい単純化されていました。これは郵政選挙のことは、私の学生から聞いた話ですが、そう思います。

 ―― 意外性(unexpectedness)はどうでしょうか。

 ハース 「意外性」は、いかに人の関心をつかむかということです。あまりにも多くのものが溢れている状況で、企業がマーケットで、また、選挙において、人の関心をつかむのは難しいものです。

チップ・ハースの研究室にて
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 トランジスタの技術がノーベル賞を授与されたころ、ソニー6758 はまだ家具のような大きさだったラジオをポケットに入るサイズにしよう、と考えていました。当時のラジオ工場では、家具職人が雇われて、筐体の木材をカットしていました。そんな時代にポケットの中にラジオを入れるという発想は、固定概念を崩さなくてはできません。

 固定概念を取り除き、新しい目標を定めると、人間は実現に向けて自分には一体何が可能なのかを考えるようになるものです。また、自分の目標のイメージを抱くことができれば、段階ごとに進捗を追うことができます。だからこそ、ソニーは何人もの優秀なエンジニアの関心を引くことができました。

 ―― 固定概念を除くということは、6つの原則の1つである「具体性(concreteness)」の要素で触れている「知の呪縛」と関連するのでしょうか。

 ハース 「知の呪縛(curse of knowledge)」にかかわる話だからです。「知の呪縛」というのは、いったん知識を持つと、知らない時の状態を想像するのが難しくなる、という意味です。

 人同士のコミュニケーションで問題が起きる大きな原因の1つに、知識をあまりにも持ち過ぎているが故、よく分かっていない人たちを理解する妨げになっていることが挙げられます。

 例えば、数学の教授は数学に関する知識を豊富に持っていますが、その数学を自身が知らなかった頃のことなど忘れています。また、医者は難しい話をするものですが、それは自分に医学の知識がなかった頃のことを忘れているからです。

 ―― 理解不能な言葉しか語れない人には、信頼を持てません。

アイデアのちから』(日経BP社)

 ハース そこで次の原則の「信頼性(credibility)」です。自分の言葉を他人に信じてもらいたい場合、統計を持ち出したり、権威ある人の言葉を借りたりしようとします。

 例えば、健康を考えて誰かの行動を改めさせたい場合、「君は、生活態度をこういうふうに変えた方がいい。ある医者はそう言っているよ」と話しかけるかもしれません。米国では、軍医のトップにあたる公衆衛生局長官がいますが、「公衆衛生局長官は、煙草を辞めたほうがいいと言っていた」と長官の言葉を借りて、説得しようとする人がいます。または、「喫煙で平均6年半分寿命が縮まります」といった具合に、研究調査や統計を持ち出したりします。

 ただ、そういったことをするよりは、実際に本人に体験させる方が信頼性は増すと私は考えます。ここに、我々がよく持ち出す例を1つお話ししましょう。米国では、プロのスポーツ選手はプライベートでたくさんの問題を抱えています。追っかけがいるからです。つまり、性病にかかったり、不適切な関係を結んでしまったりする危険性があるということですね。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官