日米欧とも株価が戻り、景気に底打ち期待も出てきたが、経済情勢はなお予断を許さない。2009年3月期決算の発表時期も迫り、企業の前期業績や今期見通し次第では、底打ち感はまた雲散霧消する。財政支出だけで15兆4000億円という過去最大の経済危機対策を打ち出した与謝野馨・財務・金融・経済財政相に対策で景気を押し上げられるのか、財政再建とどう両立するのかを聞いた。
(聞き手は編集委員 田村 賢司)
問 巨額の経済危機対策をまとめるに当たって、持論の財政再建路線を引っ込め、「宗旨変え」をすると言った。財政再建は相当先送りするのか。
答 実を言うと、今は再び「宗旨変え」をした。財政再建をしなければいけないと言い出している。(巨額の財政出動をした後)使い放しで放っておいていいというものではない。(同じく財政出動しようとしている)米欧も財政規律を言い出している。日本も将来世代に対して財政の責任を言わないのは無責任だ。

経済危機対策には税制と財政改革の道筋を示すために昨年末、策定した中期プログラムの改訂をうたっているし、経済財政諮問会議でもその議論が始まっている。6月に諮問会議が策定する今年の骨太の方針では、経済、財政の今後の動きと財政再建のあり方を国民に説明できるようにするはずだ。
問 具体的にどうするのか。「経済状況の好転」を前提として2011年度にも消費税率を引き上げる方針はどうなるのか。
答 消費税はあくまでも年金、医療、介護の財源としての位置づけ。それらを確実なものにするために考えるということだ。
財政再建では、2011年度の財政の基礎的収支(プライマリーバランス)の黒字化を目標にしてきたが、これがいつか渡らなければならない橋なのは確か。国債残高が発散的に増加するようなことでは困る。収束するような図柄を想定していかなければならない。
何にでもバラまいてはいない
問 足元の景気情勢をどう見るか。
答 国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)の見通しだと日本は今年、6~7%程度のマイナス成長になるという。マイナス3%という欧米経済の見通しに比べるとかなりマイナス幅が大きい。それを今回の経済危機対策で欧米並みの落ち込みまでかさ上げできると思っている。
日本経済の不振は明白だが、原因は複雑ではない。経済の落ち込みで需要と供給の差である需給ギャップは拡大しているが、日本の場合は外需の落ち込みによるもので、金融危機を起こしている欧米とは異なる。それだけに(新たな需要をつける)今回の対策は効果があると思っている。
官僚に言われるがまま、ということでしょう。(2009/04/27)