次世代の省エネルギー照明として注目を集める白色有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネル市場がいよいよ動き出す。三菱重工業やロームなどが出資するルミオテックが今年10月から、国内外の照明メーカーなどに厚さ2.5mmという極薄のパネルのサンプルを出荷するからだ。2012年には世界初となる大型量産工場を山形県内に建設する方針も固めており、業界に大きく先行する考えだ。
この市場ではオランダのフィリップスなど欧州大手に加え、国内のパナソニック電工や、米照明大手のゼネラル・エレクトリック(GE)と提携するコニカミノルタホールディングスなど、群雄割拠の状態が続く。将来的には蛍光灯の2倍の発光効率が可能とされるほか、水銀を使わないために環境に優しいからだ。業界では量産技術の難しさなどから、本格的なサンプル出荷を決定している会社はなかった。
ルミオテックの重永久夫社長は「照明用有機ELが家庭用に本格普及するのは2015年以降だが、他社より先に業務用などで幅広く顧客を開拓したい。サンプル生産で製造技術を高めたり、有機ELの材料メーカーとの関係も強化できる」と強調する。
「年間5000万枚の量産」

ルミオテックはまず、6月末までに本社のある山形県米沢市でサンプルの製造ラインを立ち上げ、10月から30cm角のパネルを年間2万枚生産する。15cm角のサンプル品なら年間8万枚出荷できる。投資額は20億円強。既に国内外の照明器具メーカーなどから引き合いが来ている。
昨年5月に設立されたルミオテックには三菱重工が51%、ロームが34%をそれぞれ出資している。ガラス表面のフィルムなどを担当する凸版印刷も9.9%の株式を持つ。
いただいたコメント
コメントを書く