──連載「U35男子マーケティング図鑑」、のちに『平成男子図鑑』として発行)の中で、深澤真紀さんが命名した「草食男子」。
ゲストは前回に引き続き、連載「ロスジェネ世代の叫び!」の著者で、『30代未婚男』(日本放送出版協会)の共著も持つフリーライターの大宮冬洋さんをお迎えします。

深澤真紀氏の著書、『平成男子図鑑』(日経BP社)は、「草食男子」が生まれた連載「U35男子マーケティング図鑑」をまとめたもの。2007年6月発行

大宮冬洋氏の共著書、『30代未婚男』(日本放送出版協会)。30〜39歳の男性を対象に「なぜ結婚しないのか」を調査した本。2006年6月発行
深澤 「ロスジェネ世代の叫び!(以下ロスジェネ!)」という連載を書いてみて、なぜ「ボク様=30代未婚男」は結婚しないんだと思われましたか?
大宮 対談の1回目でも話に出た「大人になれない」というのもあるんですけど、「自信がない」というのも1つのキーワードだと思いました。
結婚する経済的な自信がないし、何をもって大人というのか、何をもって結婚していいのか?について、僕もそうだし、周りも確信がないんです。
例えば、「今は年収1000万円もらってる」と言う人でも、今後継続的にその年収を維持できる自信がないし、家族を養ったり、「父親」を演じきる自信もないんじゃないでしょうか。
システムなき時代のサバイバル
深澤 たぶん、大宮さんがおっしゃっている「自信」とか「大人」とか「父親」というものが昭和の時代に成り立っていたのは、システムがよくできていただけだと思うんです。
自発的に「大人になろう」とか「父親になろう」と思ったわけではなくて、会社に入れば大人にしてもらえるし、見合い話が来て、結婚して、父親になれた。ベルトコンベアとまでは言わないけれど、システムが今より強固な世代だったことは確かです。

大宮 そうですね。
深澤 ロスジェネ世代は、ロールモデルがいないだけじゃなくて、システムもない。
でも私は、「システムが強固な時代が本当にいいのか?」と思います。「大人化させられるシステム」に馴染めなくて苦しんできた男性たちを、実際にたくさん見てきましたから。
「今どきの男子はヤワだ」と叩かれますけど、大学を卒業した20代前半の男子は、どんな時代でも軟らかいですよ。20年前の私の同級生たちもそうでした。その軟らかい男子たちが、がっちりしたシステムに入って、今まで抵抗していた社会に絡め取られて、だんだん従っていくことの方が嫌でしたね。
男子世代は、自分の働き方とか、恋愛とか、結婚が自分の身の丈に合っているかを、ちゃんと悩んでいる。それは、システムがないが故のサバイバルだからなんですね。
システムがない中でサバイバルしていくのは、働く女性も同じです。私たちはシステムがないところで「昇進するか」「転職すべきか」「独立すべきか」、プライベートでも「結婚は? 出産は?」と試行錯誤してきたわけです。
不景気の影響もあって、男性にとっても大人化するシステムがうまく機能しなくなって、男子世代も女性と同じように選択を迫られることになってきたんだなと思います。
大宮 そうかもしれない。
深澤 ただシステムなんかない方が面白いし、悩んだ方が面白いと思います。もちろん仕事でも私生活でも大変な面も多いんですが。
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