「「草食男子」も悪くない」

「ボク様=30代未婚男」は、なぜ結婚しないか?

大宮冬洋さん×深澤真紀さん(最終回)

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2009年5月7日(木)

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──連載「U35男子マーケティング図鑑」、のちに『平成男子図鑑』として発行)の中で、深澤真紀さんが命名した「草食男子」。

 ゲストは前回に引き続き、連載「ロスジェネ世代の叫び!」の著者で、『30代未婚男』(日本放送出版協会)の共著も持つフリーライターの大宮冬洋さんをお迎えします。

  • 深澤真紀氏の著書、『平成男子図鑑』(日経BP社)は、「草食男子」が生まれた連載「U35男子マーケティング図鑑」をまとめたもの。2007年6月発行

  • 大宮冬洋氏の共著書、『30代未婚男』(日本放送出版協会)。30〜39歳の男性を対象に「なぜ結婚しないのか」を調査した本。2006年6月発行


深澤 「ロスジェネ世代の叫び!(以下ロスジェネ!)」という連載を書いてみて、なぜ「ボク様=30代未婚男」は結婚しないんだと思われましたか?

大宮 対談の1回目でも話に出た「大人になれない」というのもあるんですけど、「自信がない」というのも1つのキーワードだと思いました。

 結婚する経済的な自信がないし、何をもって大人というのか、何をもって結婚していいのか?について、僕もそうだし、周りも確信がないんです。

 例えば、「今は年収1000万円もらってる」と言う人でも、今後継続的にその年収を維持できる自信がないし、家族を養ったり、「父親」を演じきる自信もないんじゃないでしょうか。

システムなき時代のサバイバル

深澤 たぶん、大宮さんがおっしゃっている「自信」とか「大人」とか「父親」というものが昭和の時代に成り立っていたのは、システムがよくできていただけだと思うんです。

 自発的に「大人になろう」とか「父親になろう」と思ったわけではなくて、会社に入れば大人にしてもらえるし、見合い話が来て、結婚して、父親になれた。ベルトコンベアとまでは言わないけれど、システムが今より強固な世代だったことは確かです。

フリーライター大宮冬洋さん。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。「日経ビジネスアソシエ」「プレジデント」「きょうの料理ビギナーズ」「dancyu」などで執筆。著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著/日本放送出版協会)がある。「自炊」に懲り、食生活ブログをほぼ毎日更新中(写真:山田 愼二、以下同)。

大宮 そうですね。

深澤 ロスジェネ世代は、ロールモデルがいないだけじゃなくて、システムもない。

 でも私は、「システムが強固な時代が本当にいいのか?」と思います。「大人化させられるシステム」に馴染めなくて苦しんできた男性たちを、実際にたくさん見てきましたから。

 「今どきの男子はヤワだ」と叩かれますけど、大学を卒業した20代前半の男子は、どんな時代でも軟らかいですよ。20年前の私の同級生たちもそうでした。その軟らかい男子たちが、がっちりしたシステムに入って、今まで抵抗していた社会に絡め取られて、だんだん従っていくことの方が嫌でしたね。

 男子世代は、自分の働き方とか、恋愛とか、結婚が自分の身の丈に合っているかを、ちゃんと悩んでいる。それは、システムがないが故のサバイバルだからなんですね。

 システムがない中でサバイバルしていくのは、働く女性も同じです。私たちはシステムがないところで「昇進するか」「転職すべきか」「独立すべきか」、プライベートでも「結婚は? 出産は?」と試行錯誤してきたわけです。

 不景気の影響もあって、男性にとっても大人化するシステムがうまく機能しなくなって、男子世代も女性と同じように選択を迫られることになってきたんだなと思います。

大宮 そうかもしれない。

深澤 ただシステムなんかない方が面白いし、悩んだ方が面白いと思います。もちろん仕事でも私生活でも大変な面も多いんですが。

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著者プロフィール

深澤 真紀(ふかさわ・まき)

深澤 真紀

コラムニスト・編集者。企画会社タクト・プランニング代表取締役社長。1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立。日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内だけはなく世界で話題になる(『草食男子世代−平成男子図鑑』(光文社知恵の森文庫)に収録)。日経ビジネスオンラインの連載をまとめた『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社)、『考えすぎない生き方』(中経の文庫)、『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)など著書も多数。そのほかの連載に、「深澤真紀の平成働き女子のための処世術」、「深澤真紀の草食の時代」、「草食男子も悪くない」など。

橋中 佐和(はしなか・さわ)

編集者、ライター。タクト・プランニング取締役プロデューサー。
1966年、東京生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。学生時代は「本の雑誌」編集部に関わる。日本IBMを経て、「翻訳の世界」「ロッキング・オン」編集部に勤務。以後フリーランスとして、生き方、暮らし、食、健康・美容、旅、映画、音楽に関する雑誌、単行本の企画・編集・構成、執筆、校正などを手がける。



このコラムについて

「草食男子」も悪くない

恋愛やセックスに淡白で、女性と添い寝しても手を出さない、最近の若い男性たち。著者の深澤真紀は、日経ビジネスオンラインの連載「U35男子マーケティング図鑑」で、彼らを「草食男子」と名づけた。彼らの生態や行動パターンを、「信じられない」と言う人もいる。しかし、今後は「草食男子」のような新世代が日本を変えていくのではないか。そんな彼らを応援する深澤真紀が、「草食男子」をキーワードに様々な識者と語り合う。

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