「ニュースを斬る」

“ゲーム機”「iPhone」が
市場を席巻する日(後編)

クリエーターを吸い寄せる自由市場の脅威

バックナンバー

2009年5月1日(金)

1/6ページ

印刷ページ

 破竹の勢いでゲーム市場の先頭を行き、「100年に1度」の不況をものともせずに、過去最高の売上高と営業利益を見込む任天堂7974。だがその背後に伏兵が忍び寄っている。米アップルだ。

 多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」と、アイフォーンから携帯電話機能を省いた「iPod touch(アイポッド・タッチ)」の累計販売台数は、4月中旬、世界で3700万台を超えた。

 これらを対象にアプリケーションソフトを配信するサービス「App Store(アップストア)」のダウンロード数は、4月24日、10億の大台を突破。その人気を、ゲームソフトが支えている。

 任天堂のお株を奪うような格好で、ユーザーとソフトを増殖し続けているアップル。任天堂にとっての脅威は、これにとどまらない…。

(iPhoneについての2回連載の前編「1日350万本のソフトがダウンロードされる理由」はこちら

 4月22日、ゲーム業界の構造変化を象徴するようなゲームソフトがアップストアでリリースされた。

 「Spilt Milk」と名づけられたそのゲームは、英国の人気ロックバンド「Fightstar」のプロモーションの一環で作られたもの。新しいアルバムのジャケットに描かれた「牛」がモチーフとなっており、ゲームのBGMにはニューアルバムの収録曲が使われている。

「Spilt Milk」のゲーム画面。日本向けの価格は230円、米国、英国向けは、それぞれ1.99ドル/1.19ポンド

 指でグラスを左右に動かしながら、上から滴り落ちてくるミルクを逃さずに取るだけというシンプルなゲーム。一定期間内で最も高い得点を出したユーザーに1000ドル相当のギターがプレゼントされるというおまけもついている。

 Fightstarがこのゲームの製作を依頼したのは、ゲームソフト会社でも、有名なゲームクリエーターでもない。ゲーム業界では無名の、1人の日本人である。

1人で作ったギターのソフトが80万以上のヒット

 IT(情報技術)関連ベンチャー、ケイビーエムジェイのCTO(最高技術責任者)を務め、この4月に顧問となった笠谷真也氏、30歳。

 彼は昨年の12月、Fightstarから「何かアイフォーン向けのソフトを一緒に作れないだろうか」という1通のメールを受け取った。

 Fightstarのメンバーは、笠谷氏が作った「Pocket Guitar(ポケットギター)」というソフトに感銘を受け、「彼ならクールなソフトを作ってくれる」と踏んだのだという。

 Fightstarのベースを担当するダン・ハイグ氏は、欧米で人気があるパソコン向けシューティングゲーム「Quake」の製作に携わった経験があり、ゲーム業界に、つては多い。にもかかわらず、見ず知らずの日本人に声をかけた。

 ポケットギターは、画面にギターのフレームが映り、指で弦を押さえたり、はじいたりすると、本物のギターを弾いているかのように音を奏でるアイフォーン/アイポッド・タッチ向けのソフト。

 2008年9月の公開から今まで、世界で80万回以上のダウンロードを記録し、日本でも「歴代有料トップアプリケーション」20作品の1つにランクインしている。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント13 件(コメントを読む)
トラックバック


このコラムについて

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン