「うちは、いくら積み上げられるか」。4月下旬、東京都内の大和証券の支店では、ある株式の募集を控え、個人投資家の需要を探る準備が進んでいた。その株とは4月9日に8000億円の公募増資を発表した三井住友フィナンシャルグループだ。
ゴールドマン・サックス証券と大和証券SMBCが引き受けの主幹事を務めるが、巨額増資には欠かせない国内の個人向け販売で中心的な役割を担うのは、大和証券の支店の営業力だ。しかし必死に努力して積み上げた販売目標額が、自分たちの会社の運命を左右することになろうとは誰が考えただろうか。
日興買収資金、大和が集める
現在、米シティグループが進めている日興シティグループ証券の大半を含めた日興コーディアル証券の売却手続き。4月下旬に実施した入札で、三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループの提示額を上回り、優先交渉権を得たのは三井住友FGだった。その金額は5000億円を超えたと言われる。そしてこの買収資金は、株式市場から調達する8000億円から充てられることになる。
米シティと三井住友FGの交渉が進む一方で、今回の売却手続きの“主役”はもはや日興ではなく、三井住友FGが提携する大和証券グループ本社へと移っている。

三井住友FGと大和G本社の提携は今から10年前にさかのぼる。住友銀行と大和証券が法人向け証券会社、大和証券SBキャピタル・マーケッツ(現大和証券SMBC)を共同で設立したのが1999年4月のこと。銀行が持つ融資先企業と、証券が抱える投資家をつなぐ両者の関係は、銀行と証券の提携の1つのあり方を示してきた。
しかしその後、大手銀行が3大グループにほぼ集約され、さらに銀行と証券の関係も徐々に変わる中で、両者の関係にも亀裂が入り始めていた。
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