山間部が中心だった風力発電所を海岸沿いに展開することで大型化。海底に支柱を立てる方式だけでなく、浮体を並べる方式も開発が進む。欧米勢が実証実験で先行。日本はこの分野で取り残される可能性も。
海沿いをドライブしていると、海の上で悠々と回る真っ白な巨大風車の一群が目に飛び込んでくる――。近い将来、日本の沿岸部でこんな場面が珍しくなくなるかもしれない。
風力発電は19世紀に英国で初めて成功したと言われ、自然エネルギーの活用手段の中でも古顔の1つだ。それから100年以上が経過した21世紀。「風力発電の主戦場は陸から海へと移った」。三菱重工業の再生エネルギー事業部・風車事業ユニットの上田悦紀主席技師はこう断言する。
安定した風で高い経済性
日本を代表する風力発電機器メーカーである三菱重工は、日本で初となる洋上風力発電の実証実験に向けて準備を進めている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や東京電力などが昨年発足させたプロジェクトに、発電能力2400キロワット(kW)の風力発電機を供給する。千葉県沿岸などに設置される予定だ。
日本では太陽光発電などの陰に隠れがちだが、世界的には自然エネルギーを利用した発電の主流は風力である。欧州風力エネルギー協会などによると、 2008年、世界の風力発電能力は前年に比べて29%も増加し、1億kWの大台を初めて突破した。これは太陽光発電の数倍はあると見られ、原子力発電所の約90基分に当たる。
米オバマ政権が掲げるグリーンニューディール政策でも風力発電は1つの目玉だ。米国は総発電量に占める自然エネルギーの比率を2012年に10%、2025年に25%へ増やす方針だ。
これまで風車の設置場所は陸上がほとんどだったが、近年の建設ラッシュで新たな候補地が見つけにくくなっている。そこで、洋上の風力発電を増やそうという動きが活発になった。その利点は、建設地の確保のしやすさだけでなく、高い経済性にもある。

陸上で設置する場合は山間部が中心になるため、機材搬送や景観保護を考慮すると約2500kWが限界とされる。一方、洋上ではそうした制約が少ないため大型化しやすく、3000〜4000kW台を主流にできる。また、洋上は沖に行くほど陸上よりも安定して強い風が吹くため、発電の効率も高い。
建設コストはかさむが、発電効率の高さにより1kW当たりの設備費用は陸上の風力発電とほぼ同額の30万円程度に抑えられる。これは、太陽光発電の半分以下の水準だ。発電能力に対する発電量の比率も洋上は40%を見込め、約25%の陸上や、約10%の太陽光発電を上回ると期待される。
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