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【技術フロンティア】海風で大規模、効率発電

洋上風力発電~三菱重工業、東京大学

  • 小瀧 麻理子

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2009年5月8日(金)

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山間部が中心だった風力発電所を海岸沿いに展開することで大型化。海底に支柱を立てる方式だけでなく、浮体を並べる方式も開発が進む。欧米勢が実証実験で先行。日本はこの分野で取り残される可能性も。

 海沿いをドライブしていると、海の上で悠々と回る真っ白な巨大風車の一群が目に飛び込んでくる――。近い将来、日本の沿岸部でこんな場面が珍しくなくなるかもしれない。

 風力発電は19世紀に英国で初めて成功したと言われ、自然エネルギーの活用手段の中でも古顔の1つだ。それから100年以上が経過した21世紀。「風力発電の主戦場は陸から海へと移った」。三菱重工業の再生エネルギー事業部・風車事業ユニットの上田悦紀主席技師はこう断言する。

安定した風で高い経済性

 日本を代表する風力発電機器メーカーである三菱重工は、日本で初となる洋上風力発電の実証実験に向けて準備を進めている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や東京電力などが昨年発足させたプロジェクトに、発電能力2400キロワット(kW)の風力発電機を供給する。千葉県沿岸などに設置される予定だ。

 日本では太陽光発電などの陰に隠れがちだが、世界的には自然エネルギーを利用した発電の主流は風力である。欧州風力エネルギー協会などによると、 2008年、世界の風力発電能力は前年に比べて29%も増加し、1億kWの大台を初めて突破した。これは太陽光発電の数倍はあると見られ、原子力発電所の約90基分に当たる。

 米オバマ政権が掲げるグリーンニューディール政策でも風力発電は1つの目玉だ。米国は総発電量に占める自然エネルギーの比率を2012年に10%、2025年に25%へ増やす方針だ。

 これまで風車の設置場所は陸上がほとんどだったが、近年の建設ラッシュで新たな候補地が見つけにくくなっている。そこで、洋上の風力発電を増やそうという動きが活発になった。その利点は、建設地の確保のしやすさだけでなく、高い経済性にもある。

 陸上で設置する場合は山間部が中心になるため、機材搬送や景観保護を考慮すると約2500kWが限界とされる。一方、洋上ではそうした制約が少ないため大型化しやすく、3000~4000kW台を主流にできる。また、洋上は沖に行くほど陸上よりも安定して強い風が吹くため、発電の効率も高い。

 建設コストはかさむが、発電効率の高さにより1kW当たりの設備費用は陸上の風力発電とほぼ同額の30万円程度に抑えられる。これは、太陽光発電の半分以下の水準だ。発電能力に対する発電量の比率も洋上は40%を見込め、約25%の陸上や、約10%の太陽光発電を上回ると期待される。

コメント7件コメント/レビュー

風力発電、洋上風力発電に関する最近の記事で最も優れた報告。再生可能エネルギーの世界の現状と日本の問題点を的確に指摘している。いまや再生エネルギーの世界の流れは風力発電が中心であって、コストの高い太陽電池をやたらと振興する日本は奇異な目で見られている。私は、昨年ヒューストンで開催された北米風力発電展示会(UWEA)に参加し、そのあと東京ビッグサイトの新エネルギー展示会を見てそのギャップの大きさに驚きを感じ得なかった。UWEAでは、例えて言うと幕張メッセ全部が風力発電展示だったぐらい大きかったのに、ビッグサイトはほんの一区画に数社の風力発電展示があっただけ。このような日本の状況について私は以下の二点を特に指摘したい。一つは風力発電に関する情報量の不足。日本では、新聞やテレビその他ジャーナリズムで風力発電の優秀性に関してあまり報道されていない(本記事を除いて)。風力発電をよく知るジャーナリストも少ない。第二に、風力発電技術の最近の大きな進歩について良く理解されていない。風車の大型化や発電機の効率化で今や原子力に迫るぐらいのコストとなり、今後もさらに技術は発展、改良されるだろう。日本の産業政策の見直しが必要である。(2009/05/14)

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風力発電、洋上風力発電に関する最近の記事で最も優れた報告。再生可能エネルギーの世界の現状と日本の問題点を的確に指摘している。いまや再生エネルギーの世界の流れは風力発電が中心であって、コストの高い太陽電池をやたらと振興する日本は奇異な目で見られている。私は、昨年ヒューストンで開催された北米風力発電展示会(UWEA)に参加し、そのあと東京ビッグサイトの新エネルギー展示会を見てそのギャップの大きさに驚きを感じ得なかった。UWEAでは、例えて言うと幕張メッセ全部が風力発電展示だったぐらい大きかったのに、ビッグサイトはほんの一区画に数社の風力発電展示があっただけ。このような日本の状況について私は以下の二点を特に指摘したい。一つは風力発電に関する情報量の不足。日本では、新聞やテレビその他ジャーナリズムで風力発電の優秀性に関してあまり報道されていない(本記事を除いて)。風力発電をよく知るジャーナリストも少ない。第二に、風力発電技術の最近の大きな進歩について良く理解されていない。風車の大型化や発電機の効率化で今や原子力に迫るぐらいのコストとなり、今後もさらに技術は発展、改良されるだろう。日本の産業政策の見直しが必要である。(2009/05/14)

「浮体には・・・数千トンもの浮力を持たせられる。1万kWの風車発電機の重さは約600トンだから強度は十分だ。」とあります。原潜は1万トン以上ありますし数百メートルも潜れますから、600トン程度を支える浮力や強度は十分なものができるでしょう。でも「十分な浮力があるから強度は十分」では論旨が通りません。閑話休題。得られたエネルギーはどういう形で陸上に運ぶのでしょうか?また、揺れに伴って発生するジャイロプレセッションはどのような対策を施しているのでしょうか?ところで、折角、浮体式にするのに何で固定するのでしょうか?台風が来たら潜水でもしないと持たないでしょう?それより動いて逃げる方が簡単のような。あっ、潜水中は海流発電か?また三つも繋ぐならその中は生簀にでもするか、大望網でも仕掛けておきたいところです。一つでも延縄を流すくらいのことには使えますね。油田探査のリグと共用も可能でしょうか?(2009/05/11)

既に1つ前のコメントでも指摘がありますが、大規模な風力発電には渡り鳥を風車が叩き落としてしまう「バードストライク」の問題が付きまとっており、洋上ではその問題がより大きくなる可能性もあります。その点についても欧米の先行事例が本当に問題ないのか、追加取材を希望します。(2009/05/09)

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三品 和広 神戸大学教授