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シリーズ 金融危機、影の主役 4
オバマの逆襲は十分か

  • 大野 和基

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2009年5月18日(月)

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 米国のバラク・オバマ大統領は、大統領選で公約に掲げたタックスヘイブン(租税回避地)への取り締まり強化に出た(参考)。

 新たに表明した方針では、企業が海外で雇用する場を広げる際に設けている税の優遇措置を国内雇用の場を広げるものに置き換え、海外のタックスヘイブンに対して厳格に対処していくことを柱としている。

 例えば、企業が預金を原資に米国での研究開発投資をした場合の税額控除を恒久化する一方で、オフバランスされたオフショアの関連会社を利用した抜け道を取り除き、また個人のタックスヘイブンの不正使用を取り締まっていくなどしていく。

 ホワイトハウスはこれらの施策で、今後10年間で2100億ドルの税収を生み出すとしている。

多国籍企業の実効税率はわずか数%

 オバマ大統領は「ほとんどの米国民が納税の義務を果たしている中で、一部の企業と富裕層は、税制の間隙をついて納税の義務を怠っている」と言う。実際、2004年に米国の多国籍企業が支払った税金は、7000億ドルの利益に対して160億ドル。実効税率は2.3%になる。米国の法人税率である35%と比べると、極めて少ないことになる。

 米会計検査院(GAO)が今年1月に発表した報告書によれば、米国の大企業100社のうち83社は、タックスヘイブンに子会社を持っているという。例えばシティグループは427社、モルガン・スタンレーは273社、製薬大手のファイザーは80社、飲料大手のペプシコは70社となっている。

 もちろんタックスヘイブン子会社は、大企業ばかりが利用しているのではない。カリブ海に浮かぶタックスヘイブンのケイマン諸島では、1つの住所に1万8857の企業が登記されている。人口4万人ほどの島の規模に見合わない数の企業があるのは、世界中の企業がタックスヘイブンに拠点を設けているからだ。

 企業はタックスヘイブン子会社を利用していかに“節税”するのか。先のホワイトハウスが発表したリリースによると、以下のようなやり方がある。

構造を見えなくする典型的な仕組み

 米国のA社がドイツでの新しい工場建設に1000万ドルを投資する場合、A社は、B、C、Dという3つの会社を設立する。まずA社は全額出資でタックスヘイブンであるケイマン諸島にB社を設立し、そのB社が出資してC社をドイツに設立する。ドイツに設立する工場は、ドイツに設立したC社ではなくケイマン諸島にあるB社が所有する。そしてA社はケイマン諸島にD社を設立する。

 D社はドイツにあるC社に融資をする。その融資につく利息はD社の収入になり、C社にとっては税控除の対象になる費用だ。このようにして収入が税金の高いドイツから税金がかからないケイマン諸島に移される。従来の米国の税法では、この収入の移転は米国の親会社の受動的所得と見なされ、親会社はそれに対して税金を払わなければならない。

 しかし、IRS(米内国歳入庁)に税務申告する際に、米国では過去何十年間もいわゆるチェック・ザ・ボックス規定(Check-the-Box Rule)によって在外子会社の存在を見えなくすることを可能にしてきたので、この見えなくなった子会社同士で生じた収入の移転について税の捕捉ができなくなっている。

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