過去最大の15兆4000億円に上る財政支出(事業規模は56兆8000億円)を行う国の経済危機対策が、様々な市場に効果を及ぼし始めた。支出の裏づけになる補正予算の成立こそまだだが、厳しい経済環境の中で、企業は早くも巨大な政府マネーに殺到しつつある。いったい15兆円はどこに使われ、どこに溢れ出るのか。経済危機対策の出口を探った。
小学校から高校まで公立学校に耐震工事を行い、太陽光発電パネルを設置、IT(情報技術)環境も整える「スクール・ニューディール」政策。これまでなかなか予算がつかなかった学校現場で需要が急膨張し、まさにバブルの様相を呈し始めている。
学校から生まれる巨大需要
危機対策では、公立学校のテレビが2009年度中にすべて地上デジタル放送を受信できるテレビに置き換えられることになった。公民館も含めて設置台数は全国で44万台。スクール・ニューディールの対策項目の1つ、「21世紀型インフラ整備」として計上された2兆6000億円の一部が投入される。
教室に入るのは、ほとんどが50型以上の大型で、高額の薄型テレビになる予定だ。大画面テレビにするのには理由がある。まず、大きな画面でなければ、後ろの席に座る子供が見えにくいという単純な理由。もう1つは、一部で「電子黒板」としての用途も考えてのことだという。
電子黒板はソフト化した教科書を映し出し、英語なら教師が画面上の単語に触れるとネーティブの発音が流れるといった機能を持つ。電子黒板として使うにはパソコンも必要になり、さらに需要を生み出す格好になっている。

電子情報技術産業協会によれば、2008年度中に国内に出荷された大型薄型テレビ(44型以上のプラズマテレビと37型以上の液晶テレビ)は283万6000台。このうちプラズマテレビは22万9000台だが、横からも見やすく、教室に置くのに優れているとされ、今回は「特需期待」が大きい。仮に学校分の44万台がプラズマテレビとなれば、液晶に押され気味の大型プラズマテレビ市場が一気に3倍になる計算だ。
それだけではない。今は教師2人弱に1台しかないパソコンを1人1台に。生徒7人に1台の教育用パソコンも、米国や韓国並みの3.6人に1台に増やす計画だ。購入予定数は、なんと196万台にも達する見込みという。2008年度の国内出荷台数の22%に当たる需要が一気に生まれることになる。
IT化対策はパソコンやデジタルテレビの購入だけでは終わらない。LAN(構内情報通信網)を構築すれば、校内に回線を引く大がかりな工事が必要になる。これまでは建物の耐震化対策などで予算を確保するのが困難だった。しかし今回の対策では、校舎の耐震化とLAN構築がセットとなって予算がつく見通しだ。
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