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第1話:愛犬の病、そして死を体験して

  • 津田 和壽澄

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2009年5月20日(水)

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大きく濡れた漆黒の瞳と輝く鼻
あなたほどの美人はいない
ちょこちょこと歩く姿の愛らしさ
あなたは哲人のように考え、賢人のように洞察する
粘り抜き、決してあきらめない忍耐強さ
あなたはそれをもってして私を自在に操る

ソファーに横たわる私の胸に腹をのせ
そのぬくもりと強く脈打つ心臓の鼓動は
次第に完璧な時空間へと私を導く
あなたと居る世界はこんなにも愛に満ちているのだ

そこには過不足なきすべてがある
ゆるぎない満足は静けさの海に漂う幸せ
再び、完璧なその世界を感じることはできるのだろうか

 2009年1月23日 香港にてピピを偲ぶ

 新緑が目に沁みる5月、汗ばむほどの陽気の原宿をひとり散歩する。ここにはいつも、相棒と一緒に来ていた。心が沈みがちになると、決まって竹下通りを一緒に歩いた。すると「わぁ、かわいい。白い毛がきれい。写真撮っていいですか」と人々に囲まれる。

 「えぇ、いいですよ」と鷹揚に返事をしながら、内心は「うれしい!」と小踊りする、小さな子供の自分がいる。少々の屈託など、その出来事で晴れてしまう。…そんなことを思いながら、数カ月を経てやっと来られるようになったその場所に立つ。

 その時、目の前をさっと白い小さな犬が横切った。まるで幻のように過ぎ去った犬は、どことなく私の相棒に似ていた。「あなたは、いつだって最高の登場シーンを演出するのね」、独りごちながら、私の胸と目がしらには熱いものが込み上げてくる。

 私の相棒…。ヨークシャー・テリアのピピは、12年間、私を無償の愛で包んでくれた。

在りし日のコンパニオン・ドッグ、ヨークシャー・テリアのピピ

 人生とは、様々な出会いと別れが縦横無尽に織りなされてできたタペストリーとも言えよう。そこにある喜怒哀楽も巡りくる季節によって、色合いを変化させていく。その別れが「家族」だった場合には、一層の深い織柄が心に刻まれる。

 私にとっては娘であり、時としてぬくもりと慰めを与えてくれた母、友達、相棒と言えるメスのヨークシャー・テリアは、誰が何と言おうと大切な家族であった。

 今、振り返ると「ピピ」と名づけたその犬の旅立ちとそこに至るまでの日々は極めて濃密な時をなし、そこでの出来事は考えもつかないほど大きな気づきと宿題を私と周囲の人々に与えてくれた。そんな宿題をこれから記すことの意味が有用となることを願いつつ、「その時」へと時間を戻してみたい。

 それは華やかで浮足立つようなクリスマス、そして慌ただしい晦日の合間にある、そこだけ師走が一休みするような2008年12月27日の出来事であった。土曜日の21時30分、自宅で、ピピは11歳8カ月と12日の生涯を穏やかに閉じた。

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