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高まる“スパイ天国”のリスク、法改正でも安心できない

2009年5月22日(金)

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 毒物カレー事件の裁判で被告の死刑が確定し、政局では民主党の小沢一郎前代表の去就に注目が集まっていた4月21日。日本の国益を左右する重要な法案が、ひっそりと成立していた。

 主に軍事スパイ行為を抑制する改正外為法と、主に産業スパイを抑制する改正不正競争防止法だ。

 改正外為法では、安全保障に関わる物品、情報の国際取引について、規制の対象を従来の「居住者から非居住者への提供」だけでなく、国境を越える行為全般とした。文書や電子記録媒体の国境を越えた移動、電子メールの国外送信も規制対象に含まれ、罰則も強化した。

 これにより、例えばロケットやミサイルに転用できる技術情報を外国人労働者や短期滞在者が取得し、外国に電子メールで送信、あるいは他人に提供する目的でUSBメモリーに情報を入れて国外に出た場合でも、取り締まることができるようになった。

「100年に1度」の不況で攻撃が増大

 一方で、海外企業の利益につながるような国内企業の機密情報を狙う産業スパイについても、改正不正競争防止法で規制が強化された。

 これまでは、流出した物品や情報が競業関係にある第三者の利益につながることを立証する必要があったが、今後は競業関係になくとも「不正の利益」や「損害」を生じさせる目的があれば法律違反となる。

 さらに、従来は営業秘密を使ったり、第三者に開示したりする行為が処罰の対象だったが、今回の改正では、規則に反し営業秘密をコピーするなどして持ち出した時点で、処罰の対象となるようにした。

 2007年3月に発覚した「デンソー事件」。デンソーに勤める中国人技術者が製品の図面データを大量に持ち出し、同時期に中国へ帰国するなどの行為が判明した。

 だが、競業関係にある組織へデータが渡ったことが立証できなかったため、起訴を断念した経緯がある。これが、「法改正でカバーできるようになる」(経済産業省知的財産政策室)。

 欧米各国に比べてスパイを取り締まる法整備が遅れており、“スパイ天国”などと揶揄されてきた日本。今回のダブル規制で、ようやく法律は欧米並みに追いついたと言える。が、それでも安心できない。

コメント6件コメント/レビュー

> この法律を持ち出すと、必ず戦前のことを云々する人がいるが、反対する者(個人、組織)は、やはりスパイもしくは、利敵勢力だといわざるを得ない。> この法律が無いことによる不利益は、国民が全て負わされることになる。この法律による不利益があるからこそ、戦前のことが持ち出されるのですよ。利益だけを見る一面的な思考で理解するのは危険です。(2009/05/24)

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「高まる“スパイ天国”のリスク、法改正でも安心できない」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

> この法律を持ち出すと、必ず戦前のことを云々する人がいるが、反対する者(個人、組織)は、やはりスパイもしくは、利敵勢力だといわざるを得ない。> この法律が無いことによる不利益は、国民が全て負わされることになる。この法律による不利益があるからこそ、戦前のことが持ち出されるのですよ。利益だけを見る一面的な思考で理解するのは危険です。(2009/05/24)

今回の法改正はヒステリックな教条主義者(あるいは確信的利敵勢力)に対応した搦め手からの(ある意味日本らしい)良手かとは思いますが、やはりこの法律と合わせての統合的なカウンターインテリジェンス機関やスパイ防止法の施工は必須でしょう。戦中ですらゾルゲ事件の様な大規模間諜勢力の摘発に不正電波探知を契機として必要としたように、防諜活動はハイテク、錬度の高い技術者を要する治安活動です。まして現状では担当部局は場当たり的に各県警備部や公安、自衛隊情報保全隊、CIRO(内調)といった各所に散在しているためお役所的弊害も多く、また局所で後手後手の対応を強いられている状況ですから今後益々進行するIT化やRMI(軍事技術革命)の波の中でハード・ソフト両面で対応できないのは明らかです。まして通牒や外交ルートにおいて外務省の公的ルートより民間依存度が高いこの国で備えがないということは近年の民間商事会社経由などの情報や人の往来を低くすることになり、国策を誤りかねない危険性は他国よりも高い訳で、現実にセキュリティクリアランスの徹底すらないために軍事機密の漏洩が発生し、結果として次期航空機選定においてその点を米国側に危惧されF22の輸入に支障をきたした、といったケースが発生しているだけに喫緊の課題として対応を切に願いたいところですね。(2009/05/23)

対ロ・対中に警鐘を鳴らしていますが、世界最大の産業スパイを擁する国がアメリカだという事実が隠されている記事ですね。そろそろ、何故日本のIT基本技術がアメリカにコントロールされているのかを考える時期に来ているのではないでしょうか。(2009/05/22)

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