• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

金融危機の真犯人を育んだMBAの罪

ハーバードMBAを卒業した新聞記者が覚悟の告発

  • フィリップ・デルヴス・ブロートン

  • 岩瀬大輔訳

バックナンバー

2009年5月27日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 およそ300年前、大阪の近くにある堂島取引市場に集まったコメ商人たちが、現代のデリバティブ(金融派生商品)産業を生み出した。彼らは古典的な経済上の問題に直面していた。コメの売価が、生産コストよりも大きな振れ幅で変動するため、経済的に極めて不安定な生活になっていたのだ。

 そこで彼らは将来の決められた日付に、あらかじめ定まった価格でコメを届けることを記す証書を書き始めた。市場が進化するに連れ、実際にコメを一切保有せずとも、証書だけを取引することが可能になった。

コメ商人の実需から生まれたデリバティブ取引

著者による『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』(日経BP社)が発売された。原題は、Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School。

 この歴史的事実は、2つの点において特筆すべきだ。まず、デリバティブ取引が、事業の不安定を取り除きたいという、コメ商人の実需から生まれたことだ。

 そして、これらの取引を編み出したのがコメ商人であり、何年もの高等教育を受け、洗練されたコンピューターの収支予測モデルを持つ金融家ではなかったことである。彼らの金融イノベーションはコメの生産という、現実に価値を生み出す経済活動に根ざしていた。いつの間にかグローバル経済の大半を支配し、それ自身が自己目的化した金融エンジニアリングの類ではなかった。

 現在のデリバティブトレーダーのうち、いったいどれだけの人が、自分が取引している商品のことを理解しているだろうか? ある企業から債券を買い入れ、それを商品先物や為替相場の変動に対してヘッジしようとする時、彼らはその取引の原資産となっている有形の資産について考えることがあるのだろうか? トレーディングを始めるよりも前に、原油を触ったり、実際に商品をタイバーツで支払ったり、あるいはサブプライムローンを借り入れたりしたことがある人はどれほどいるのだろうか?

 同様に、実際のビジネス上の課題に取り組むよりも先に、エクセルで収支予測を作ったり、パワーポイントで戦略プレゼンテーションを作ったりすることに没頭している経営幹部やコンサルタントがどれほどいることか。

 ここにビジネス教育の根本的な問題がある。いつの間にか、ビジネススクールが教えることが現実のビジネスから懸け離れたものになってしまったのだ。

社会との間に溝を作った“犯人”となってしまった

 ビジネススクールは、経営やビジネスについて知的な思考をするための活気にあふれる場であり、重要な役割を果たす教育機関である。また、経済と社会生活が交差する場所でもある。

 しかし、ビジネススクールは、自らが教育するエリートと、奉仕すべき社会との間に大きな溝を生む“犯人”となってしまった。ビジネススクールは普通の人には全く縁もゆかりもない、独自の言語と行動規範を作り上げたのである。

 これは極めて深刻な問題だ。ビジネススクールは、自分たちがやっていることは何か、そもそもビジネススクールは必要なのかについて、改めて問い直す必要がある。

 私が2004年から2006年に通ったハーバードビジネススクールを含むいくつかのビジネススクールは、すでにこの問題に取り組み始めた。しかし、実際に多くのビジネススクールがこの問題に向き合うようになったきかっけは、金融危機と、すでに広まっているビジネスリーダーに対する世間一般からの怒りだった。

 批判する声は、次のようなものである。

コメント9件コメント/レビュー

300年も前の堂島取引市場のコメ商人たちが、現代のデリバティブと同じ手法を生み出した其の能力を高く買いたい。サブプライム問題を出した最近の米国とは違い規律を維持して先物取引を実施した先輩を評価する。アメリカ人であれ誰であれ利益が発生して順調な場合は問題がないので前に進むだけだ。唯、問題が発生し解決出来ずに深みにはまるとニッチもサッチも行かずに大きく破綻する。今回の金融危機がそうなった。問題はMBAでは無く規制当局だ。此の事故から米国とMBAスクールは学ばないといけない。Poboy(2009/06/13)

「話題閑題」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

300年も前の堂島取引市場のコメ商人たちが、現代のデリバティブと同じ手法を生み出した其の能力を高く買いたい。サブプライム問題を出した最近の米国とは違い規律を維持して先物取引を実施した先輩を評価する。アメリカ人であれ誰であれ利益が発生して順調な場合は問題がないので前に進むだけだ。唯、問題が発生し解決出来ずに深みにはまるとニッチもサッチも行かずに大きく破綻する。今回の金融危機がそうなった。問題はMBAでは無く規制当局だ。此の事故から米国とMBAスクールは学ばないといけない。Poboy(2009/06/13)

価値を生み出さない人たちが勝ち組になる妙な社会になっています。一次産品、二次製品、デザインやサービスとしての付加価値などに関わらず、数字のマジックだけで儲けようとする人たちは反省すべき良い機会だと思います。(2009/05/29)

偉そうなことを言うようですが…手段と目的を取り違え、手段が目的化した際に起こる悲劇の一例のように感じられました。過半数の日本人は、単なる売買だけで儲ける人やあぶく銭に対して違和感を抱くのではないでしょうか。(2009/05/28)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リクルートは企業文化そのものが競争力です。企業文化はシステムではないため、模倣困難性も著しく高い。

峰岸 真澄 リクルートホールディングス社長