「特別対談 上野千鶴子×深澤真紀  “おひとりさま”の人生メンテナンス術」

オトナの友人は、誰にでもできるものじゃないのよ

上野千鶴子さん×深澤真紀さん(第2回)

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2009年5月28日(木)

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──深澤真紀さんの連載「自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術」が同名の単行本になりました。この書籍は、以前からメンターと仰ぐ、東京大学大学院教授の上野千鶴子さんのベストセラー、『おひとりさまの老後』に多大な影響を受けているとのこと。そこで、前回に続き、ゲストの上野さんと「ひとりで生きていくこと」「人間関係をメンテナンスしていくこと」についてお話しいただきます。

おひとりさまの老後』(法研)を手にする上野千鶴子さん(右)と、最新刊『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社)を持つ深澤真紀さん

――前回のお話で、お2人の20年来のつかず離れずの師弟関係がよく分かりました。深澤さんが書かれた「そこそこほどほどに機嫌よく」というキーワードは、上野さんも「素晴らしい」と高評価でした。

機嫌よく生きるには、逃げ方も大事

上野 他にも「自分探しをしない」という考え方もいいですね。自分というのは他人との関係の中にしかないのだから、探しても見つからないのは当たり前です。

 フカサワも苦労したんだなと思うのは、「他人とどう関わっていくかを考えろ」と書いたすぐ後に、「あるいは、関わらないようにすることを考える」と書いていること。「逃げ方」についても触れているところがうまいですね。

 逃げるのはひきょうでも何でもなくて、自分が機嫌よく生きるためには、何を避けるか、何から降りるか、何から逃げるかがすごく大事。なのに、「逃げるのか、ひきょう者!」という脅しにみんなが乗せられています。

 私は女に対しては「逃げなさい」と書きますけれど、男にはあまり言いません。だから、あなたが日経ビジネスオンラインの男性読者に向けて「逃げていいんだよ」と書いたのは立派だと思う。優しいよね。

上野千鶴子(うえの・ちづこ)
東京大学大学院教授。1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了、平安女学院短期大学助教授、シカゴ大学人類学部客員研究員、京都精華大学助教授などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は女性学、ジェンダー研究。著書に『家父長制と資本制』『生き延びるための思想』(岩波書店)、『ナショナリズムとジェンダー』(青土社)、『老いる準備』(学陽書房)、『おひとりさまの老後』(法研)、『ニーズ中心の福祉社会へ』(中西正司と共編著、医学書院)など多数(写真:花井 智子、以下同)。

深澤 私は本当は優しくないんですけど(笑)、自分が年を取って、男女問わずに若い世代に対して「逃げていい」と言いたくなったんですね。ですから「人間関係メンテナンス術」の連載も若い男性の反応がよかったんです。

上野 それだと、ヒッキー(編注:「ひきこもり」のこと)にも「そのままでいいんだよ」というメッセージを送ったことになる?

深澤 「メンテナンス術」は、何もしなくてもいいし、頑張らなくていいとは言っていません。頑張るべきことは頑張って、それ以外のことをほどほどにやればいいと言っているんです。私自身が20年働いて、相当頑張ってきましたし(笑)。

上野 確かにそうだ。頑張らないと苦労はしないし、苦労するから初めて「逃げていい」という言葉が出てくるんですよね。「逃げていい」と無条件に言うと、出家遁世を勧める宗教家みたいになるけれど、あなたには頑張った実体験の裏づけがありますからね。

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著者プロフィール

深澤 真紀(ふかさわ・まき)

深澤 真紀

コラムニスト・編集者。企画会社タクト・プランニング代表取締役社長。1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立。日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内だけはなく世界で話題になる(『草食男子世代−平成男子図鑑』(光文社知恵の森文庫)に収録)。日経ビジネスオンラインの連載をまとめた『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社)、『考えすぎない生き方』(中経の文庫)、『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)など著書も多数。そのほかの連載に、「深澤真紀の平成働き女子のための処世術」、「深澤真紀の草食の時代」、「草食男子も悪くない」など。

橋中 佐和(はしなか・さわ)

編集者、ライター。タクト・プランニング取締役プロデューサー。
1966年、東京生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。学生時代は「本の雑誌」編集部に関わる。日本IBMを経て、「翻訳の世界」「ロッキング・オン」編集部に勤務。以後フリーランスとして、生き方、暮らし、食、健康・美容、旅、映画、音楽に関する雑誌、単行本の企画・編集・構成、執筆、校正などを手がける。



このコラムについて

特別対談 上野千鶴子×深澤真紀 “おひとりさま”の人生メンテナンス術

社会学者の上野千鶴子・東京大学大学院教授とコラムニスト深澤真紀氏は、実は20年来の「師弟関係」にあったという。上野氏が2007年に上梓した『おひとりさまの老後』がベストセラーになり、「ひとりで生きていくこと」というテーマが世間でも注目を浴びるようになった。一方、深澤氏が日経ビジネスオンラインで連載し、このたび書籍となった『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』は、『おひとりさまの老後』に多大な影響を受けているという。この特別対談では、「ひとりで生きること」と「人間関係をメンテナンスすること」について、お2人にお話しいただく。

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