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合理的に考えれば「投票はしない」

【第1講】民主主義が機能しない理由

  • 森川 友義

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2009年6月8日(月)

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 ホモ・サピエンスが生まれたのは二十数万年前です。これに対して、民主主義が登場したのは、古代ギリシャ時代だとしても2500年余り前に過ぎず、フランスの思想家シャルル・ド・モンテスキューの『法の精神』に起源を求めるのであれば300年もたっていないことになります。

 つまり、民主主義制度に対処できる遺伝子なんてものは、私たちの身体には組み込まれていないのです。

 でも、近代社会では民主主義という制度が作られて、国民は選挙への参加を迫られることになりました。この時、ヒトの遺伝子はどんな行動を取ろうとするものでしょうか――。

 正解は、「何もしない」です。行動を起こせば、時間は取られるし、カロリーも消費します。この世の中、何もせずに問題が解決するのであれば、これほど幸せなことはありませんよね。そもそもヒトは利己的な動物です。自分の利益を最大化しようとした帰結が「何もしない」なのです。

政治リテラシーはムダ?

 さて、こうした遺伝子の反応は、政治にどのような影響を与えているのでしょうか。もう少し細かく見ていきましょう。

 選挙では、登場人物(政治学では「政治アクター」と言います)は、有権者と政治家になります。両者の関係の原理原則に則ると、以下のことが言えます。

  • 私たち有権者は、選挙に当たっては1票を投ずることによって、我が国に最もふさわしい政治家を選出する
  • 選ばれた政治家は日本のあるべき姿に近づく政策を実行する

 民主主義の理想形ですね。

 ところが、残念ながら、現実の政治の姿とは大きく異なります。

 まず、有権者です。民主主義は選挙に参加し、「我が国に最もふさわしい政治家を選出する」ことも求めていますが、実際には、有権者は十分な政治知識を有して、最良の政党や候補者を選出しているわけではありません。

 何しろ、私たちは政治リテラシー(政治に関する知識)が低い。研究の一環として、有権者の政治リテラシーに関する調査を繰り返してきましたが、高いという結果を得たためしがありません。特に35歳未満の政治リテラシーのなさは、目を覆いたくなるほどです。

 これも仕方がないのかもしれません。ヒトは「何もしない」を選ぼうとしますから。

 衆議院は4年に1度、参議院は3年に1度が選挙の原則です。そのために、ヒトは必要な知識をため込もうとはしません。仕事や育児、趣味など、常日頃から接している出来事に関する知識を増やすので手いっぱいですから。政治は、どうしてもなおざりになってしまう。

 これを政治学では、「合理的無知仮説」と呼んでいます。私たちは遺伝子レベルにおいて合理的に判断し、その結果として政治リテラシーの無知状態に入っているのです。

 さらに、有権者は選挙も棄権する傾向にあります。これも「何もしない」ことが、最良の選択と判断するためです。

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