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「GM危機」で、帝人が巻き添えに?

投資家は見えないリスクに疑心暗鬼

  • 高橋 篤史

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2009年6月1日(月)

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 社債のオフバランス化を行った企業で思わぬ損失の発生が相次いでいる。5月25日には帝人が72億円の損失計上を発表、同様のケースは武富士、ソフトバンクに続いて3社目となった。

 背景にあるのは証券化バブルや、「GM危機」と呼ばれる米ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻処理問題といった海外金融情勢の急激な乱高下。社債のオフバランス化を行っている企業はほかにもあり、今後も“爆弾”が破裂する可能性は否定できない。

 帝人が損失発生を明らかにしたのは、2009年3月期決算の発表からわずか2週間後のことだった。第4回無担保普通社債150億円を「債務履行引受契約」によってバランスシートから切り離していたが、それに関連して現金72億円の追加拠出を余儀なくされたのだ。

 不況の煽りを受け、同社の2009年3月期は営業利益が前期比7割減の179億円に落ち込み、429億円もの最終赤字に陥った。見通しが不透明なため、今期は業績予想の開示も取り止めたほどの苦境。72億円の損失は今年第1四半期(4~6月)に計上する方向だが、影響は小さくない。

財務テクニックに、思わぬ落とし穴

 債務履行引受契約は、「実質的ディフィーザンス」や「信託型デット・アサンプション」とも呼ばれる財務テクニックだ。過去に発行した社債を繰り上げ償還せずにバランスシートから切り離す手法である。

 具体的には様々なスキームがあるが、基本的には社債及びそれと同額の金銭を金融機関に信託拠出して、その信託財産を金融商品などで運用することにより元利金を確保する。発行企業に代わって金融機関が社債償還を行うため、実質的に債務が消滅したとみなされるわけだ。

 債務履行引受契約の効果は見た目のバランスシートをスリム化させることにある。自己資本比率や総資産利益率といった指標は改善する。ただ、社債そのものが消滅するわけではないので、簿外には社債と同額の偶発債務が残る。そのため、信託した金銭の運用は安全性の極めて高い資産が求められる。

 会計ルール上、オフバランス化が認められるのは、運用資産がダブルA格以上の債券か預金と定められている。ところが、そこに罠があった。

 帝人が1999年9月発行の10年物社債150億円をオフバランス化したのは2005年11月。運用資産はトリプルA格の金融商品だった。しかし、その実態は米国企業を中心に約100社を参照銘柄とするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に連動する証券化商品だったのである。

 米欧金融機関が演出した証券化バブルでは、格付け会社がその機能を果たせなかった。サブプライムローン問題以降、債務担保証券(CDO)など高格付けの金融商品は軒並み時価が急落、ほとんど買い手が付かない事態ともなった。

 帝人のオフバランス化スキームで運用していた金融商品の時価はじりじりと下がっていたが、決定的だったのは「GM危機」だったようだ。

 債務削減策を模索していたGMの連邦破産法申請が5月中旬以降、現実味を帯び、運用する金融商品の価値が急落した。帝人はスキームの途中変更を決断、追加拠出により目減り分を穴埋めし、運用資産をトヨタ自動車の社債などリスクの低いものに組み替えたのである。

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