「新人諸君、半年は黙って仕事せよ。山田ズーニーのフレッシュマンのためのコミュニケーション講座」

第7回  苦情に対応する

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2009年6月1日(月)

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お客さんのちょっとした苦情に対応するとき、
何に気をつけたらいいんだろう?

ポイントは3つある。

さっそくこんな、悪い例からみてほしい。
この対応、どこがいけないのだろうか?

客  「あのー、
    キャンペーンのプレゼントなんですけど…」

新人 「もうしわけございません。
     本日、予定数の200個、
     すべて終了させていただいております」

客  「あのー、インターネットに入力して
    きのう応募券が送られてきて…」

新人 「あれは、プレゼントを確約する券ではございません。
     応募する権利ができるだけで、
     限定200個、なくなった場合はご了承くださいと、
     応募券にも書かせていただいております」

客  「そんなことは、わかってます。
    読めばわかりますよ、それぐらい。
    でも、まぎらわしかったですよー。ネットで、
    入力項目もびっしりあって、すごくめんどうくさくて…」

新人 「そう言われましても、本日、予定数200個は
     すべて終了させていただきましたので」

客  「いや、そうじゃなくて、ネットで
    入力項目もびっしりあって、すごくめんどうくさくて、
    やっと入力したと思ったら、
    あとから限定200個って知らされたんで、
    あわてて、私、岡山から、朝の新幹線で3時間
    かけて出てきて、並んだんですよ、それで…」

新人 「限定200個、すべて終了となっておりますので」

客  「いや、そうじゃなくて、
    限定200個っていうのは、
    応募券がきてからわかるんじゃなくて、
    先に書いておいてほしかったなあ、と…」

新人 「システムの都合上そうなっております」

客  「岡山から、きたのに、努力がまるまる…」

新人 「とにかく限定200個、
     すべて終了させていただいておりますので、
     ご了解いただけますでしょうか」

こういう新人さんの対応を見ていて、
いちばんに思うのは、

「恐いんだな」

ということだ。
「自分の応対になにかまずいことがあったらどうしよう」
「お客さんからなにか聞かれて知らないことがあったらどうしよう」
「お客さんがものすごく怒って収拾がつかなくなったらどうしよう」

経験のなさ、自信のなさからくる「恐れ」。

そのため、コミュニケーションの能力が
堅く「閉じて」しまっている。

ベテランになってくると、
経験からある程度、お客さんの反応も予測できるし、
自分の対応にも自信が出てくるので、
オープン・マインド、つまり「ひらいた」心で
お客さんと「やりとり」ができる。

先ほどの新人さんの対応は、
「やりとり」になっていない。

この新人さんには、
お客さんからの言葉は、ほとんどはいっていない。

「あなたは私の領域にはいってこないでよね。
私もあなたに思っていることは見せないから」
とばかり、相手の話を取り込むこともできず、
自分の思いや考えを出すこともできず、
ただ「限定数終了」と状況説明をくりかえすのみ、
機械と話しているような印象だ。

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著者プロフィール

山田 ズーニー(やまだ・ずーにー)

山田 ズーニー 文章表現・コミュニケーションインストラクター。岡山県生まれ。1984年ベネッセコーポレーション入社後、進研ゼミ小論文編集長として、高校生の考える力・書く力の育成に尽力する。2000年 独立。フリーランスとして、執筆、講演、高校・大学での授業、社会人への研修、ワークショップなどを通して、文章表現力・思考力・コミュニケーション力の 教育に取り組んでいる。著書に『話すチカラをつくる本』『伝わる・揺さぶる!文章を書く』『あなたの話はなぜ「通じない」のか』『理解という名の愛がほしい』『おとなの小論文教室。』他多数



このコラムについて

新人諸君、半年は黙って仕事せよ。山田ズーニーのフレッシュマンのためのコミュニケーション講座

 新入社員のみなさん、いよいよ社会人だ!と胸膨らませていることでしょう。そこでひと言。
 意見を述べること=「仕事ができる」というイメージがありますが、新入社員は、とりあえず、半年、黙って仕事をしてみよう。先輩や上司の仕事を見て、自分のいる会社のことや仕事の流れをしっかりと身につけてから、発言しても遅くはない。むしろその方がいいくらい。まず会社員としてのコミュニケーション技術を身につけることが社会人としての第一歩だ!! この講座で立派な社会人になるための大事な技術を学んでいこう。

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