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販売好調「キリン フリー」誕生の軌跡

十数回の事前調査で消費者心理つかむ

  • 島津 忠承

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2009年6月9日(火)

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 キリンビールが2009年4月に発売したビールテイスト飲料「キリン フリー」が好調だ。発売後1カ月で年間目標の過半数に当たる34万ケースを売り上げ、5月14日には早くも年間目標を当初の約2.5倍(160万ケース=大瓶換算で約2万キロリットル相当)に引き上げた。2008年のビールテイスト飲料の市場規模は約3万2000キロリットル(同社推計値)でそのうち同社分が約5700キロリットルだったと聞けば、今回の目標設定がいかに強気か分かるだろう。発売前に十数回の調査を実施し、その結果をパッケージデザインや飲用シーンの提案などに生かしたことが、このヒットを生んだ。

入念な調査に基づき「0.00%」訴求を決定

 キリン フリーはビール風味の炭酸飲料。従来のビールテイスト飲料が0.01~0.5%程度のアルコールを含むのに対し、発酵させないという製造方法によってアルコール度数0.00%を実現したことが最大の特徴である。

 開発は2007年に着手した。同年6月の道路交通法の改正により、飲酒運転の罰則が強化された。このため、顧客からは「運転前に安心して飲める商品を開発してほしい」といった要望が多数寄せられていた。同年秋にキリンが実施した調査でも、運転手の9割が「ビールを飲みたいと思いつつ我慢している」という結果が出た。また、微量のアルコールを含む従来のビールテイスト飲料では顧客の不安を取り除けないことも分かった。

 こうした調査結果を受け、同社マーケティング部商品開発研究所 新商品開発グループの梶原奈美子氏は「発酵させないアルコール度数0.00%のビールテイスト飲料を作れば新しい市場を開ける」と手応えを感じた。発酵させずにビールの飲み応えを作り出し、実際に量産できるのかという点にはハードルの高さを感じつつも、開発がスタートした。

キリンビール マーケティング部商品開発研究所新商品開発グループの梶原奈美子氏

 発酵させない製法でビールに近い飲み応えを実現するために、ビール部門と香味調合技術に長けたチューハイ部門との混成チームで開発に当たった。一方、0.00%の特徴を分かりやすく伝えるために、梶原氏は念入りに調査を実施。その結果をコンセプト固めやキャンペーンに生かした。

 実施した調査は主に3つある。(1)試作品の味を顧客に評価してもらう香味調査、(2)商品名やコンセプトを固めるインタビュー、(3)パッケージデザインなどについて尋ねるインターネット調査である。(1)と(2)は定性調査、(3)は定量調査である。

 (1)の香味調査は10回実施した。同社のビール系商品の開発では前例のない多さである。梶原氏は「『この程度の味ならソフトドリンクを飲めばいいや』と思われたら負けだと考えて、味作りに力を入れた」と明かす。

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