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エコの威借りた覇権争い 「電力vsガス」対立激化

2009年6月9日(火)

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 「これは電力業界によるガス業界のイジメではないか」。あるハウスメーカー関係者は憤る。

 5月1日から東京ガス、6月1日から大阪ガスがハウスメーカーと組んで華々しい宣伝を展開し、本格発売を始めた燃料電池。都市ガスやLPG(液化石油ガス)に含まれる水素から電気と熱を発生させるもので、発電効率が高いことから“エコな”エネルギー源として期待されている。

 ところが、その扱いを巡って、電力業界とガス業界が激しく対立しているのだ。

 発端は住宅用太陽電池などで発電した電力の買い取り制度。住宅で消費する以上の電力を太陽電池で発電した場合、その余剰分を一般的な電力料金の2倍である1キロワット時当たり49円で買い取ることを電力会社に義務づけるものだ。資源エネルギー庁が審議会を開いて制度設計を詰めており、早ければ2009年から施行される予定だ。

 そんな折、電気事業連合会会長である森詳介・関西電力社長が、その買い取り対象に燃料電池で発電した余剰分を含めることに難色を示したのだ。この制度の狙いは、太陽電池の普及だ、というのが理由だ。

 ガス業界はこの森発言に反発。日本ガス協会会長の野村明雄・大阪ガス会長は、「(燃料電池での発電分も)買い取り対象に加えてほしい」と訴えている。

 燃料電池のガス会社の販売価格は1台当たり325万~346万円。上限140万円の補助金が給付されるものの、それでも消費者の負担額はおよそ200万円と高価だ。電力買い取り制度などの後押しがなければ、消費者はなかなか手を出せない。

 東京ガスの幡場松彦・常務執行役員は語る。「燃料電池はこれから普及する製品。太陽電池と同じように環境に貢献する製品であるから、買い取り対象に含めて当然ではないか」。

太陽電池とオール電化をセット販売
ハウスメーカーは太陽電池とオール電化をセット販売する

 電力会社とガス会社の板挟みの格好になっているのがハウスメーカーだ。太陽電池と燃料電池を組み合わせ、「ダブル発電」と銘打って積極的に販売しているからだ。旭化成ホームズは2009年1月からダブル発電付き住宅を重点的に販売している。3月までに販売した住宅のうち、ダブル発電を採用している比率は40%に上り、2009年度は500軒を販売する予定だ。

 「仮にダブル発電による余剰電力が買い取り対象から全く外れると、燃料電池を購入するメリットが薄れ、売れ行きが鈍る恐れがある」と、マーケティング本部営業推進部の中村干城課長は困惑している。

「環境に良い」がうたい文句

 ガス会社の試算によると、燃料電池が底上げする余剰電力は、余剰分全体の20%程度。2009年度の燃料電池の販売予定台数も約4000台と、約9万台を予定する太陽電池の足元にも及ばない。電力会社の買い取り費用は、太陽電池に比べれば微々たるものだ。

 それにもかかわらず、なぜ電力会社は太陽電池を許容し、燃料電池に目くじらを立てるのか。

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「エコの威借りた覇権争い 「電力vsガス」対立激化」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授