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続・「悲鳴を上げる中国農業」

もはや中国だけでは解決はできない。食の安全のため「東アジア農業共同体」を

2009年6月8日(月)

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 畑にまくのは下水のような汚水、未発酵の人糞肥料と大量の農薬散布、小作人と化した農民の惨状――。前回のインタビュー、「悲鳴を上げる中国農業」で中国農業の病理を語った愛知大学の高橋五郎教授。今回はさらに話を進めて、中国農業の持続可能性や食卓の未来を大胆に語った。

(聞き手 日経ビジネス オンライン 篠原 匡)


【前回のあらすじ】
 中国農業が悲鳴を上げている。土と水の汚染、担い手である農民の疲弊は、国内消費量の20%に当たる野菜を中国からの輸入に頼る日本にとって他人事ではない。『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)を上梓した愛知大学の高橋五郎教授は徹底した農村調査で中国農業の病理を浮き彫りにしている。現地の農民と語り、土や水に触れる異色の学者に中国農業の現状を聞いた。詳細はこちら


 ―― 前回のインタビュー、「悲鳴を上げる中国農業」はかなりの反響でした。

 高橋 そのようですね。知らない人からも手紙がきました。

 ―― それだけ、多くの日本人が中国農業の現状について、関心を持っているということだと思います。読者の高い関心に応えるため、今回は、さらに前回で語りきれなかったお話を中心に伺います。

「あの程度で門を閉じたら大国の名が泣く」

高橋 五郎(たかはし・ごろう)氏
1948年新潟県生まれ。愛知大学法経学部卒、千葉大学大学院博士課程修了。現在は愛知大学国際中国学研究センター所長、同大現代中国語学部教授を務める。専門は中国農村経済学、国際社会調査学。中国の農村事情や農民に詳しい。今回の問題を取り上げた『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)が話題を集めている。
(写真:高木茂樹、以下同)

 高橋 前回のインタビューでもご質問を受けましたが、あの記事が出た後、「中国政府から睨まれませんか」「出入り禁止になるのではないでしょうか」というご心配を、全く知らない方も含めて大勢の方々から頂きました。それは、本当にありがたい話でした。まあ、出る杭は打たれますが、出過ぎた杭は打ちにくいと言います。このくらいのことで門を閉じたら大国の名が泣くでしょう。

 ある方にメールで伝えましたが、記事を読んだ日本の方は驚いたのかもしれません。ただ、中国ではなんともない光景で、何も驚くことではありません。あの記事に書いてある状態が普通なんですよ。日本人が驚くのは無理もありませんけどね。

 もし私の指摘で立腹する中国の人がいるとすれば、それは外国人、日本人に言われたくないよ、という感情論であろう、と。そういう方々には「じゃあ、なぜ放っておくのですか」と言いたい気もします。中国農業の現状は、我々日本の問題でもある。無関心でいられるはずがありません。

 ―― 「一部の悲惨な農家の状態をして全体を語っている」という趣旨の読者コメントもありました。

 高橋 恐らく、重箱の隅を突っついて、悪いところだけあら探しをしている、という印象を持った人もいるでしょう。もちろん、全体がそうだと言ったつもりはありません。ただ、その事実が一部であるか、全体であるか、あの巨大な国でそれほど大きな問題でしょうか。しかも、私は中国が嫌いとか、けなすとか、そういうつもりで話したのではなく、現実を前向きに指摘しただけですよ。

 その現実を「重箱の隅」と言うのであれば、その方々は中国農業のすべてを知るべきだと思っているのでしょう。でも、それは個人にとってはしょせん不可能なこと。まあ、そういう人がインタビューを読んでくださったことには価値があるのかもしれませんね。

なぜ輸入農産物の生産現場を見ようとしないのか

 ―― 中国農業に関する指摘は特別なことではない、と。

 高橋 あとで、向こうで撮った写真をお見せしますけど、何も特別なことではありません。むしろ私に言わせれば、様々な問題が噴出しているにもかかわらず、私たち日本人はなぜ今の今まで中国農業の根源的なところに目を向けてこなかったのか、と思いますね。

 日本で作っているものについては、「トレーサビリティー」と言って、生産者の顔だとか、土壌だとか、農薬散布だとか、消費者は知りたがります。それなのに、なぜ輸入した農産物については現場を見ようとしないのか。おかしいでしょう。

 ―― 消費者はもちろん知りたいでしょうが、なかなか情報がありませんからね。

 高橋 ですから、私は消費者が知りたいであろう情報を、現地に見に行って、本(『農民も土も水も悲惨な中国農業 』(朝日新書)にまとめたわけです。何も特別なことをしている気持ちは全然ないんですけど・・・。

 ―― そもそも、中国の学者は農村や農業の調査をあまりしない、と高橋教授は話していました。

 高橋 中国の農業経済学者は農村調査をほとんどしないんですよ。つまり、農村なんて学者が行くところじゃないと思っているんですね。それもあって、日本人もなかなか行かないんですよ。本当の情報が伝わりにくいのはそのためでしょう。

 ―― 実は、あの記事の後、編集部に「土を持ち帰るのは植物防疫法違反」という指摘がありまして・・・。

 高橋 土を持ち帰ること自体は違反ではありません。植物防疫法をあらためて、詳しく調べました。農林水産省や検疫事務所などの関係省庁からも詳細を確認しましたが、土に関しては事前に輸入許可を得ればいいのです。試験用として持ち込みはできるんだけれども、事前に申請をして、許可をもらう必要があります。私自身も、十分に注意する必要があると思った次第です。

 ―― さて、前回のインタビューでは土と水と農民について、詳しくお伺いしました。今回は「中国農業の持続可能性」についてお話をお聞かせください。

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「続・「悲鳴を上げる中国農業」」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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