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デトロイト、米最悪都市の末路

GM破綻、犯罪増、人口減…

2009年6月15日(月)

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 自動車の聖地、デトロイト(米ミシガン州)が財政破綻した。7月18日、デトロイト市は米連邦破産法第9条を裁判所に申請、負債総額は180億ドルを超えるという。日経ビジネスでは2009年、ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻で“瀕死”の状況に陥った同市をリポートしていた。当時描いた負のスパイラルから抜け出せず、ついに20世紀最強の産業都市は、産業転換の狭間に堕ちることとなった。

 ゼネラル・モーターズ(GM)破綻から一夜明けた6月2日。バラク・オバマ政権が真っ先に打った政策は、ほとんど知られていない。

 デトロイト救済策──。

 失職した労働者の救済策に4900万ドル(約48億円)を投入し、1000万ドル(約9億8000万円)でデトロイトの警察官を100人増員する。

 緊急発表された2つの施策が、巨大都市が陥った惨状を物語る。

「死んだ街」

 貧困と犯罪。この2つの病理が絡み合いながら、デトロイトは転落の一途をたどっている。

 政府が認定する「貧困層」の収入水準で計算すると、貧困率は33.8%となり、大都市(人口25万人以上)では全米最悪となっている。失業率は22%にも達する。

 人々の生活苦は、そのまま犯罪の増加に結びつく。凶悪犯罪発生率は全米1位。1960年代の暴動もあって、白人は市内から逃げ出し、黒人比率が82%となっている。

 こうした負のスパイラルによって、人口減少が止まらない。50年頃には全米4位の180万人を誇ったが、今では半分の90万人まで落ち込んでいる。ここ数年も年2%の減少が続く。

 そして中心街は、ゴーストタウンと化している。多くのレストランや雑貨店が閉鎖され、荒れ果てた状態だ。市内の3割が空き地と言われ、朽ち果てた工場やビルが放置されている。

廃墟となったビル
廃墟となったビルが目立つ

 ホームレスや泥酔した男性が昼間から街をさまよい、人々はますますダウンタウンに寄りつかなくなる。

 「この街は、もう死んだよ」

 平日のダウンタウンの公園で、57歳のピーター・バイブルは、ベレー帽を目深に被って座っていた。何もすることがない。アルコール依存症からは立ち直ったが、仕事は週3日だけ。

 「この街は職がないし、レイオフの話題ばかりだ。若者に未来がないよ。財政が破綻しているから、学校教育なんてボロボロだからね」。そう言って、力なく笑った。

 「すべては、自動車会社から税金が入らなくなったからさ」

 眼前にはGMの巨大な本社ビル「ルネサンス・センター」が見える。だが、そのランドマークがデトロイトをさらに窮地に追い込もうとしている。

超高層ビルが廃墟に

 「GMが本社を移転する」

 そんな噂が出たのは、破綻の直前のことだった。豪華な外観の超高層ビルだが、ひとたび足を踏み入れると、人もまばらで閑散としている。改修費だけで5億ドル(約490億円)を費やしてきたビルだが、レイオフが続いたこともあって、オフィスの半分はもぬけの殻となった。そこでGMは、隣接するウォーレン市にある技術センターに、本社機能を移すことを検討している。

GM本社ビル
デトロイトの中心に位置するGM本社ビル

 ウォーレン市長は、既にGMに対して特別の税制優遇を提示した。移転後に購入した機械や設備の固定資産税を全額免除する、といった破格の待遇が盛り込まれている。

 “引き抜き”の事実を知ったデトロイト市長は、猛烈な反対運動を展開し始めた。ウォーレン市長の税制優遇を「猿知恵だ」と批判し、移転阻止に向けたロビー活動に走る。だが、米連邦破産法の適用申請で再建を目指すGMにとって、コスト削減効果があれば本社移転を実施する可能性は高い。

 そしてGMが去ることになれば、デトロイトにとって30年以上にわたる「地域復興」が挫折することになる。70年代、暴動などによって荒れ果てたダウンタウンを再開発するために、中心地に「ルネサンス(復興)センター」を建設した。そこに主要テナントとして本社を移したのがGMだった。

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「デトロイト、米最悪都市の末路」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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