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「利得」で自民、「損失」で民主

【第4講】選挙公約とプロスペクト理論

  • 森川 友義

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2009年6月29日(月)

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 今年の衆議院選挙を一言で表すとすれば、「政権交代是非選挙」というのがぴったりと当てはまるでしょう。もし民主党が過半数の議席を獲得すれば、1955年から1年間を除いて続いてきた自民党政権が崩れるかもしれません。

 ところが、しばしば「民主党は政権担当能力がないから、投票できない」という有権者の声を耳にします。ちょっと考えてみましょう。これまで民主党は1回も政権を担当したことがありません。ですから、政権担当能力はゼロですね。それを根拠に「民主党に投票できない」のであれば、永久に自民党政権は続きます。

 心理学のレベルで、自民党に投票するか、あるいは民主党に投票するかという判断は、リスク(不確実性)にどう対処するかの問題と考えることができます。政治家の選挙公約は「将来、自分はどうする」という話なので、有権者にしてみれば実現するかどうか、必ずリスクを伴います。ですから、リスクに対する私たちの心理的メカニズムを知っておくと、政党支持の問題が明確になってくるのです。

リスクの種類で、反応が異なる

 では、まず、次の2つの問いにお答えください。

問1 次のような選択肢がある時、どちらを選びますか?
A 100%の確率で必ず1万円もらえる。
B 1%の確率で100万円もらえる(99%の確率で何ももらえない)

問2 それでは次の場合はどちらを選びますか?
A 100%の確率で必ず1万円失う。
B 1%の確率で100万円失う(99%の確率で何も失わない)

 あなたはどう答えましたか? 多くの人は問1はAを、問2はBを選んだのではないでしょうか。

 ただし、期待値で見ると、問1はAもBも1万円の獲得であり、問2はどちらも1万円の損失です。期待値は同じであっても、リスクの種類によってAだったりBだったり、実際の選択が変わるところが、ここでの重要なポイントです。

 「リスクに直面した人間は、獲得するものが『利得の領域』なのか、『損失の領域』なのかで対応が異なる。利得ではリスクを実際よりも高く見積もるために、リスクを回避するように保守的に行動する。一方、損失ではリスクを実際よりも低く見積もるために、リスクに寛容になる傾向が強い」

 このような人間の習性を、「プロスペクト理論」と言います。2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授と、心理学者であるエイモス・トベルスキー教授が1979年に唱えました。経済学や心理学といった分野で実験が繰り返され、利得と損失でだいたい逆転した答えが返ってくることが分かっています。

 国が異なっても、同じ実験結果が得られます。これはどうやら遺伝子に組み込まれた反応と考えてよさそうです。そこで、進化政治学者は、なぜ私たちがこのような反応を示すのかについて、研究しています。

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