「衆院選「候補者A」かく闘わんとす」

第23話 県会議員ってどんな人

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2009年6月25日(木)

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 総選挙の前哨戦と目される東京都議選の投票日が7月12日と(約2週間後に)迫った。都議の定数は127で、自民党と公明党が併せて70議席を占める。一方、麻生太郎政権の支持率低迷によって勢いづく民主党は、34議席からの大幅増を狙って59人の候補者擁立を決めている。

 同じ地方議員でも、市町村レベルの議員には政党に属さない者も多い。しかし都道府県の議員の場合、国政同様に政党公認が大半を占める。権限も市議などよりずっと大きいが、都議や県議の顔は、国会議員と比べてずっと見えにくい。いったいどんな人が、どうやって立候補していくのだろうか。

県議選に立候補する秘書

 次期総選挙で3度目の当選を目指す民主党代議士・A。その秘書Oは、近々行われる県議選へ出馬することになっている。Oは公費で個人給与を負担する公設秘書の1人だ。国会法では国会議員は2人の公設秘書と1人の政策担当秘書の計3人の秘書を雇うことができる。

 通常、政策担当秘書は東京・永田町にある議員会館に詰めており、2人の公設秘書は地元選挙区に常駐するケースが多い。OはAの第1公設秘書で、Aの選挙区があるP市に常駐している。

 この日の朝8時、Oは愛車のファミリアを運転し、選挙区内にあるホテルに届け物をするため立ち寄った。車は8年前、高校の教員をしていた頃に買った。走行距離は16万キロを超えている。

「決まったんだって? 新聞で見たよ」
駐車場で働く顔見知りの守衛が、親しげに話しかけてきた。

「はい。そういうことになりました」
照れ笑いを浮かべ、Oが答える。

 Oは30代半ば、家族は妻と幼い2人の子供がいる。もともとは他県で高校の教員をしていたが、4年前に知り合いの紹介でAの秘書となり、家族を伴いP市へと移り住んだ。今では、まるで昔からの住民のように知り合いが増えた。そのP市が今回、県議選の舞台となる。

休みを取ったのは4年間で4日だけ

クルマで出かけるAの秘書・O (撮影:筆者)
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 国会議員秘書は、政治家を目指す若者にとっては登竜門の1つだ。秘書を経て市議や県議へ立候補する者は少なくない。また、中には国政へと立候補していくケースもある。秘書として経験を積む間に、政党関係者や支援者との結びつきができるからだ。

 ただし、秘書の生活は過酷なものだ。教員時代は週休2日、平日も夕方には自宅に戻れていたのが、秘書となってからの4年間で、休日は4日しか取っていない。しかも帰宅は午前0時近くになることも多い。

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著者プロフィール

出井 康博(いでい・やすひろ)

ジャーナリスト。
1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社入社、「ザ・ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」の客員研究員を経て、独立。主な著書に『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社)などがある。また日経ビジネス2002年9月30日号コラム「ひと烈伝」でヨシダソースで有名な米ヨシダグループの吉田準輝会長を寄稿、現在「フォーサイト」(新潮社)で「2010年の開国・外国人労働者の現実と未来」を長期連載中。最新刊に『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)がある。



このコラムについて

衆院選「候補者A」かく闘わんとす

ねじれ国会に、2代続けて首相の突然の辞任、そして総選挙。ざわつく国政に、テレビや新聞、そして週刊誌と政局関連の話題を取り上げているが、その当事者である代議士、そして代議士になろうとしている人たちは、いったい普段どんな生活をしているのかは意外と知られていない。本連載では、「地盤」「看板」そして「カバン」を持たない“フツー”の代議士や候補者の生活に焦点を当てることで、日本の政治はどのように作られるのか、そして現在の政治システムが抱える課題とは何かを浮かび上がらせていく。

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