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中国にもいた渋沢栄一

経営者に求められる「公」の精神

  • 真弓 重孝

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2009年7月3日(金)

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 投資家から、資本家の時代に――。

 一部投資家が節度ないマネーゲームを繰り広げたことで、大きく傷つけられた世界経済。その立て直しに、政府の役割が強調されている。だが、公的部門にすべてを頼り切れば、膨大な財政赤字に経済そのものが押しつぶされてしまう危険を伴う。

 民の暴走の後始末に官が乗り出す今だからこそ、我々には、近代資本主義の黎明期に私利におぼれず公益に尽くした篤志家たちの存在を見つめ直す意味がある。日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、その1人であるに間違いない。

 日経ビジネスオンラインでは、渋沢栄一に関連したコラムとして、「渋澤健の『資本主義と道徳』」「小説 渋沢栄一『青淵の竜』」を掲載してきた。

 その渋沢の功績を集めた渋沢史料館(東京都北区)は、この6月7日から「日中米の近代化と実業家」という企画展示を開始した。この企画は中国の渋沢栄一と呼ばれる張謇(ちょうけん)、そして米国では主にジョン・ロックフェラーといった大きな功績を上げた実業家にフォーカスしながら1840年から1930年にかけて起きた日中米の近代化の歴史をたどる。

 展示は日本を皮切りに、中国の南通博物苑(江蘇省南通市)、そして米国のセントルイス・マーカンタイル・ライブラリー(ミズーリ州セントルイス)と3カ国で行われる。この企画の狙いを、渋沢史料館の館長、井上潤氏に聞いた。


 ―― この企画でフォーカスする渋沢栄一やロックフェラーの名前を聞いたことがある日本人は多いと思いますが、張謇の知名度は日本では限りなく低いと思います。

渋沢史料館・館長、井上潤氏

 井上潤館長 そうかもしれませんが、中国経済の存在感が増す昨今、張謇は中国の近代化を支えた1人として、日本人、特に企業人は知っておくべき人物の1人でしょう。

 彼は渋沢栄一とほぼ同じ時期に、同じような活動をした人物です。渋沢栄一は1840年に生まれ、1931年に没しました。張謇は1853年に生まれ、1926年に死亡と、渋沢より遅く生まれ、早く亡くなっていますが、同じような環境で育ち、同じような人生を歩みました。

 渋沢も張謇も農家の生まれで、役人を経て、実業家になりました。渋沢が設立に関与した会社は500社とも言われ、その分野も銀行から製紙、肥料、ガラス製造、セメント、海運、電話、鉄道などと、様々な分野にわたります。彼が「日本資本主義の父」と称される由縁です。

 一方、張謇は三十数社と、渋沢に比べて起業数は1ケタ少ない。ですが、張謇も渋沢と同じ社会実業家とも言うべき点で共通しており、紡績、製粉、自動車や電灯、開墾、漁業、不動産と多岐にわたっています。

渋沢栄一肖像写真(渋沢史料館所蔵)
画像のクリックで拡大表示
中華民国農商部総長時代の張謇
(南通博物苑所蔵)
画像のクリックで拡大表示

 2人は実業家と言うよりも社会実業家と言う方がふさわしいかもしれません。渋沢は現在の東京女学館や日本女子大学そして一橋大学の創設に尽力するなど、教育に力を注ぎました。張謇も「教育は実業の母なり、師範は教育の母なり」と考え、日本の師範教育を参考にして、近代的な学制に基づいた通州師範学校を南通に創設しています。

 2人が両国の近代化を支える重要な人物になったのは、生まれ育った場所が影響しているのかもしれません。渋沢が生まれた血洗島(埼玉県深谷市)の近くに利根川があり、張謇が生まれた南通も有名な揚子江流域にありました。

 当時の交易は水運が中心で、大型河川の流域には人、物、金そして情報が集まる場所だった。最先端の地で次代の風を浴びることのできる環境が、2人を有数の実業家に育てたのだと思います。

 ―― 今の南通はどのような感じなのでしょうか。

「日中米の近代化と実業化」のパンフレット (画像をクリックすると特別展特設サイトへジャンプします)

 井上 堀に囲まれた日本の城のような地区が町の中心であり、そこには伝統的な景観が随所に残されています。一方で、それと新しく経済発展していく工場地や住宅地が周辺に伸びていっています。

 日本企業も、多く進出しています。特に繊維産業ということでは、帝人がいち早く進出しています。渋沢栄一の関係で申しますと、王子製紙が大規模な工場を建設しており、来年の10月に操業開始と聞いています。

 ―― 今回の企画を考えるきっかけは?

 井上 私はこの渋沢史料館で渋沢について伝えていく際に、核となるテーマを持ってできたらと、常々考えてきました。そこで参考になったのが、渋沢敬三が構想していた「日本実業史博物館」です。

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