「衆院選「候補者A」かく闘わんとす」

第24話 東国原騒動と地方分権

バックナンバー

2009年7月3日(金)

1/3ページ

印刷ページ

 総選挙は8月上旬との見方が強まる中で、2人の人気知事の動向に注目が集まっている。自民党から出馬要請を受けた東国原英夫・宮崎県知事は、「総裁候補」を条件に突きつけた。総選挙前の支持政党表明を宣言した橋下徹・大阪府知事には、新党結成も噂される。

 両知事が求めるのは「地方分権」だ。麻生太郎内閣の支持率低迷に喘ぐ自民党では、2人の気を引こうと「地方分権」の大合唱が始まった。小泉純一郎元首相が仕掛けた前回の“郵政選挙”に続き、今回は“地方分権選挙”が展開しそうな勢いだ。

 地方分権が実現すれば、自治体レベルでの政治の責任が増す。だが、有権者が地方政治の実態について知る機会は限られる。マスコミの注目度は低く、投票率も国政レベルと比べて高くない。いったい現場では何が起きているのだろうか――。

結局は無投票で当選

 前回の連載では、民主党代議士・Aの秘書Oが、地元県議選に立候補した経緯について書いた。民主党県議が市長選に出馬し、空いた議席を争う補欠選挙に同党公認で挑むことになったのだ。

 Oは高校の教員を辞めてから丸4年、地元秘書という裏方としてAを支えてきた。そのOが初めて主役となって挑戦した選挙は、意外な形で決着した。他に候補者が1人も出ず、無投票で当選が決まったのである。

 Oが立候補した選挙区の定数は3。今回争われるはずだった議席を除けば、残りの2議席は自民党と共産党が占めている。当選が決まったOを含め、2年後には3議席すべての改選がある。

 1つの政党で2議席を取った場合、改選時に共倒れになってしまうかもしれない。そのことを恐れ、自民党や共産党、公明党などがそろって候補者の擁立を見送った。一方、民主党内では立候補に意欲を見せた市議が複数いたが、公認が得られず出馬しなかった。

 Oに対する民主党関係者の評価は高い。ベテラン市議らを押しのけ公認候補となったのも、秘書としての実績や人間性が評価されてのことだ。とはいえ、Oにとっても投票を経ずしての当選が、果たして良いことなのかどうか。

まるで政党間の談合

 小選挙区で争われる総選挙とは異なり、都道府県レベルの選挙では定数が2人以上という選挙区が過半数を占める。そうした複数選挙区をよく見てみると、議席は政党で仲良く分け合うのが“常識”だ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント9 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

出井 康博(いでい・やすひろ)

ジャーナリスト。
1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社入社、「ザ・ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」の客員研究員を経て、独立。主な著書に『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社)などがある。また日経ビジネス2002年9月30日号コラム「ひと烈伝」でヨシダソースで有名な米ヨシダグループの吉田準輝会長を寄稿、現在「フォーサイト」(新潮社)で「2010年の開国・外国人労働者の現実と未来」を長期連載中。最新刊に『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)がある。



このコラムについて

衆院選「候補者A」かく闘わんとす

ねじれ国会に、2代続けて首相の突然の辞任、そして総選挙。ざわつく国政に、テレビや新聞、そして週刊誌と政局関連の話題を取り上げているが、その当事者である代議士、そして代議士になろうとしている人たちは、いったい普段どんな生活をしているのかは意外と知られていない。本連載では、「地盤」「看板」そして「カバン」を持たない“フツー”の代議士や候補者の生活に焦点を当てることで、日本の政治はどのように作られるのか、そして現在の政治システムが抱える課題とは何かを浮かび上がらせていく。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内