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「資金繰り危機」は収まらず

効果問われる政府の中小企業対策

  • 宇賀神 宰司,加藤 修平,鈴木 雅映子

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2009年7月6日(月)

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 「なぜだ。財務内容が悪い企業のための緊急保証制度ではないのか」――。

 東京信用保証協会の相談窓口、緊急保証の適用を取り下げられた中小企業経営者が職員に詰め寄る。東京信用保証協会には金融機関と中小企業から緊急保証に関する問い合わせが、毎日1000件以上ある。その中には、資金繰りに窮しているものの、期待通りの保証を受けられず、悲鳴にも似た苦情を訴えるケースが紛れ込む。

 そこには「景気底打ち」とは程遠い、中小企業の姿がある。

緊急保証の利用減少

 政府は金融機関が中小企業向けに融資する際に、信用保証協会が100%債務保証する「緊急保証制度」を昨年10月31日から導入している。最高2億8000万円、そのうち一般的には8000万円まで無担保で保証が受けられる。このため、金融機関を通じた中小企業からの申し込みが殺到した。政府も事業規模を当初の6兆円から、2回の補正予算を経て30兆円まで拡大した。

中小企業の信用保証制度利用の仕組み

 しかし、中小企業の希望がすべて通るわけではない。全国に52ある信用保証協会のうち、最大規模の東京信用保証協会によれば、申込件数の7%、希望金額の23%が審査を通らない。この割合は制度開始当初からほとんど変わっていないというが、問題はその中身だ。

 同協会保証統括部の畑俊次部長は「制度開始当初は利用に誤解があった。そもそも保証対象業種ではなかったり、事業規模に対して申請金額が非常に多かったことなどから、減額や申請を取り下げた例があった」と語る。利用できるなら、とりあえず満額申し込もうという動きもあった。制度が浸透した今、目立つようになったのは、金融機関に対し3カ月以上の延滞があるなど、返済能力が低下している企業が審査に通らないケースだ。

緊急保証制度の承諾件数と金額の推移

 企業再建・承継コンサルタント協同組合(東京都千代田区)で中小企業の財務支援をする鈴木隆雄氏は、「緊急制度にもかかわらず、従来の保証制度と審査方式が変わらない。審査基準を緩めて保証を出さないと、金融機関の融資を受けられず再建計画を進められない企業が出てくる」と指摘する。

 鈴木氏が再建を助言する企業には、売上高が前年同期に比べ20%以下に落ち込むなどして保証を受けられなかったり、受けられても申請額の3分の1程度に減額された例もある。

 緊急保証制度の月ごとの承諾実績は昨年12月は3兆円、今年3月は2兆円を超えた。年末と決算期末の資金繰り危機を乗り越えるためだったが、4月以降は申込件数、承諾金額とも大幅に減少し、小康状態に入っている。

 しかし、それは借りられないほど財務状況が悪い企業や、借りられても減額される企業が増えていることの裏返しでもある。1件当たりの承諾金額も昨年11月は平均約2470万円だったが、今年4月以降は1600万~1700万円で推移している。

大手からの厳しい値下げ要求

 一方で、金融機関から融資を受けられた中小企業の状況はどうか。

 朝日信用金庫(東京都台東区)の高橋茂理事は「底打ちどころか、まだまだ底を這っている段階」と話す。

 同金庫は台東区や江戸川区といった東京の下町が地盤。昨年末から緊急保証制度を使って積極的に融資してきた。しかし、2009年度に入った今年4月から、融資先が変調を来している。「昨年末には問題のなかった優良企業から、『資金繰りが厳しい』との声が聞こえてくるようになった」というのだ。

 「(発注元の)大企業からの値下げ圧力が強まっている」ことが1つの要因だ。消費の急速な冷え込みで、余力のなくなった大企業は調達先の中小企業に値下げを強く求める。原材料価格の低下もこれに拍車をかける。

 新潟県のある建築資材メーカーは「高騰時には価格転嫁を認めてくれなかったのに、値下げ要求だけはしっかりくる」と嘆く。

 中小企業は昨年末から受注数量の減少に耐えてきた。そこに値下げ要求が加わり「売り上げが前年の3~5割にとどまる企業が増えた」(高橋理事)。結果として、資金繰りが急に苦しくなっているというわけだ。

 金融機関の対応にも変化が出始めている。ある信用金庫の幹部は「融資を決めて決裁待ちをしていた取引先が、大手銀行からの融資を受けられずに倒産したことがある」と打ち明ける。公的な信用保証制度を利用しない、いわゆる「プロパー融資」の部分で借り換えができない企業が出始め、一種の「突然死」が広がっているという。

 融資を受けられて、手元資金が潤沢になったという中小企業もある。だが、そこに誤解を生むからくりがある。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官