タクシー業界で、規制緩和の歯車が逆回転し始めている。
6月19日、「タクシー事業適正化・活性化特別措置法」が参院本会議で可決され、成立した。狙いは低価格競争と増車にブレーキをかけることだ。
過去15年間、タクシー業界では規制緩和が進んだ。タクシーの運賃に関する規制は徐々に緩やかになり、2002年にはタクシーの増車と新規参入も自由化された。手頃な運賃やサービスを武器に、新規参入が相次いだ。
規制強化求める業界
一方、台数の増加と低価格化で、運転手の収入は減少。1日の営業収入の平均は1996年の約3万7000円から、10年で3万円程度に減った。この間、全国のタクシー台数は約1万2000台増え、約22万2000台に達した。
「過当競争だ」と業界では規制強化を求める声が高まった。こうした流れを受けて、競争を制限する法律が生まれた。今後は、地域ごとに定められている運賃の上限と下限の幅が狭められ、運賃格差は縮小する。
タクシー台数の増加にも歯止めがかかる。独占禁止法は自由競争を阻害する行為を禁止しているが、例外的な扱いを受ける。タクシー事業者による協議で増車を抑制する規制が新しい法律には盛り込まれている。

この動きに困惑するのが、規制緩和を前提に、新たにタクシー事業に参入した企業だ。東京都足立区に本社を置くアシスト。98年に低価格タクシーで参入し、現在は224台のタクシーを運行する。
不景気にもかかわらず、アシストのタクシー事業は順調だ。「当社の運転手の1日当たりの収入は、夜間で業界平均の2倍近い。不況でも利用者は増えている」(アシストの新堂聡専務)。
好調な理由は、割安な料金とユニークな特徴が、企業や個人の顧客に支持されていることにある。
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