総選挙を前に、医療や福祉といった安全安心に直結する政策に、国民の関心が高まっている。マニフェスト(政権公約)作りに追われる各党も、具体的にどんな政策を盛り込めば選挙に有利か、頭を悩ませている。そんな中、「医療政策──マニフェストで問うべき3つの重要課題」と題した意見書が永田町で話題になっている。

この意見書、「医療政策国民フォーラム」という民間会議が、6月24日に発表したもの。同フォーラムは、独立系NPO法人(特定非営利活動法人)で超党派のシンクタンクを目指す日本医療政策機構(東京都千代田区)が設立した。患者団体の代表者や医師などの医療従事者、学者、マスコミ、財界人といった立場が違う約30人で構成する。特定の利害に偏らない政策として打ち出した今回の意見書に「各政党から問い合わせが相次いでいる」と、フォーラムを立ち上げた小野崎耕平・日本医療政策機構事務局長補佐は言う。
利害関係者が一堂に
なぜこの文書が注目を浴びているのか。理由の1つは立場の違う利害関係者が一堂に会したこと。医療政策と言えば、医師会などの要望を受けて自民党や厚生労働省が密室で決める、というのが通り相場だと思われてきた。今回の意見書は各委員の主張も具体的に記載され、意見をまとめるプロセスの透明化が図られている。多様な関係者が集まった今回のような取り組みは恐らく初めての試みだという。
永田町の政治家たちが関心を持ったもう1つの理由は「医療崩壊」と言われる今の医療の現状への危機感。何とかしなければいけないと思う政治家が少なくないのだろう。救急患者の搬送先が見つからない“たらい回し”や、地方病院で医師が極端に不足する医師不足など、様々な問題が起こっている。だが、一方で政治家にはなかなか情報が入らない。
今回の総選挙では各党とも、医療は無視することができないテーマだ。小泉純一郎政権の「骨太2006」以来、続けてきた社会保障費の抑制方針を、「骨太の方針2009」では、すったもんだの揚げ句に撤回したことからもうかがえる。こうした時勢も手伝ってこの意見書に関心を持たれているのだろう。
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