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欧米の新聞は、既に死んでいる

元新聞記者が愛惜を込めて直視した業界の終焉

  • フィリップ・デルヴス・ブロートン,関谷 英里子

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2009年7月9日(木)

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 激動の渦中にある産業にとって何よりも恐ろしいのは、時代の変化の速さだ。このビジネスは安定していて、これからも多くの利益を上げ続けると思っているうちに、ほんの数年後には、そのビジネスモデルは崩壊してしまっていたということはあり得るのだ。

 新技術の分野においては、変化のスピードはさらに速い。消費者の行動の変化はこれまでになく速くなり、かつて力を持っていた産業が、今や息も絶え絶えとなっている。その最たるものが新聞業界である。

「ほとんどの新聞社は投資に値しない」と言ったバフェット氏

 新聞業界が厳しい状況であることは、米国と欧州では10年以上も前から明らかだった。そしてついに2008年、この業界は変化の波に押し流されてしまった。米国ではデンバーからサンフランシスコ、そしてシアトルなど、かつては各地で読まれていた地方新聞が廃刊となった。米「ニューヨーク・タイムズ」紙は日々の支払いに必要な金策のために、法外な利子でカネを借り、マンハッタンにある本社を抵当に入れなくてはならなくなった。

 欧州では英「イブニング・スタンダード」が負債引き受けを条件として、ロシアの億万長者にたったの1ポンドで売られた。フランスの「ルモンド」紙と「リベラシオン」紙の状況もひどく、欧州大陸内はどこも同じような状況だ。

 米国と欧州、大西洋どちらの側の記者に聞いても、出てくるのは終わりなき予算カット、リストラ、収益の減少といった暗い話ばかりである。強い酒でも飲まなきゃやっていられない、というのが本音だろう。

 世界第2位の富豪で米国人投資家であるウォーレン・バフェット氏は今春、新聞業界への投資を断念すると発言した。「いかなる価値であっても、ほとんどの新聞社は投資に値しない」と年次株主総会で彼は語った。「新聞各社は今後も損失を出し続ける可能性がある」とも言っている。

 ビジネスでも新聞業界にかかわり、業界への思い入れの強いバフェット氏だけに、この発言は非常に大きな意味を持つ。子供の頃、彼が最初に携わった仕事は新聞配達だった。そして、長い間「ワシントン・ポスト」紙や「バッファロー・ ニュース」紙の株主でもあった。「問題は、読者にとっても広告主にとっても、もはや新聞は必要不可欠なものではなくなっていることだ」と彼は言う。ニュースは今やインターネット上など至る所で、いくらでも手に入れることができる。要するに「新聞」というビジネスモデルは既に崩壊してしまったということだ。

 ホテルチェーンのマリオットは今年4月、米国内のマリオットホテルにおいて、宿泊客への新聞無料配布を原則、やめると発表した。これだけで全米の新聞の売り上げは5万部減少した。マリオットは新聞配布の中止によって、森林伐採を防ぎ、環境保護に貢献できると主張している。気候変動さえも新聞“消滅”の一翼を担っているのだ。

既に「収穫期」ビジネスとなっている

 海外で生じているこういった問題を聞いても、日本では対岸の火事と思われるだけかもしれない。日本の新聞はまだまだ元気で、世界でも最高の購読数を誇り、高齢化してはいるけれども、安定した読者を抱えている。過去10年間、米国での新聞購読数が15%も落ちているのに対し、日本での下落率は3.2%にとどまっている。

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