「ペットを看取るということ 天国の犬からの宿題」

最終話:ありがとう。また逢えるよね

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2009年7月15日(水)

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 ご好評を頂いた「天国の犬からの宿題」もいよいよ最終回。

 どんな題にしようかと考えていると、パッと浮かんだ言葉が「ありがとう。また逢えるよね」。これは、後述する横田晴正さんの著書(四季社)のタイトル『ありがとう。また逢えるよね。―ペットロス心の相談室』と同じである。

 しばし躊躇したものの、やはりこの言葉が本コラムを締めくくるにあたり一番ふさわしいと考えた。そこには、ヨークシャーテリアのピピと一緒に過ごした11年5か月16日間への感謝、まだ見ぬ次の“仔”への挨拶、そして何よりも、多忙な中、オフィスや家庭でこの連載を読んでくださった読者への感謝の想いを込めた。

 顧みれば、このコラムは極めて個人的な体験から始まったものである。執筆の依頼を受けたのは、昨年末にピピを亡くして、まだ気も張っている1月下旬。

 その時点では、獣医療への疑問や提案、看病で得たノウハウを読者の皆さんと共有できればと願っていた。また、ピピとの体験は人間の医療問題と共通部分もあると感じており、そんなことも浮き彫りにできれば…と気負っていた。まだまだグリーフィング・プロセスにおける初期の段階だった。

 それから連載が始まるまでの数カ月間、悲しみは心の柔らかいところまで容赦なく忍び込んでは、去っていくということを繰り返した。

 本コラムではその一部のみに触れている(第6話)が、生き方を試されるような宿題を与えられている、と歯を食いしばることもあった。

 そんな宿題に真正面から取り組んだり、ある時はうまく逃避する術を考えたりもした。私にとって、その作業はピピを偲び涙を流すという単純なことではなく、内面をみつめ、人生の夢を問われ、苦しさを楽しさに変えなければ及第点はもらえないという、難しい宿題だった。ペットロス症状の自覚よりも、人生の節目の修業中にあったという方が、ぴったりくる期間であった。

 そして連載は5月に開始した。執筆することにより心の整理ができたかというと、実は悲しみが一層現実味を帯び、当初は涙をぬぐわずに執筆を続けることはできなかった。

 そこにきて初めて私の心は解放され、単純な悲しみに包まれたのだった。そして回を重ねるごとに、少しずつではあるが私の心は悲しみの渦中から歩みでて、俯瞰して全体を見渡せるようになっていった。それは「時薬」なのか、多くの人と一緒に考えたい現状のテーマが整理でき始めたからなのだろうか。

在りし日のピピ

 しかし何よりも大きかったのは、読者の反響である。「私だけではないのだ」と心動かされるようなエンパシーに満ちたコメント、さらに助言の数々には励まされた。この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 現代のコンパニオン・アニマルを囲む環境は日進月歩であると思いたい。獣医療の選択の幅も、第7話で書いたように先端医療から代替医療まで広がってきている。例えばピピの場合にも、薬の適量や飲み合わせを計るためにオーリングテストも活用した。

 このような中、いわゆるペットビジネス市場は1兆円を超えるという。ドッグカフェ、ホテル、幼稚園はもちろん、鍼灸、マッサージ、犬のエクステ(付け毛)、泥パック、さらに「婦人公論」7/22号によると、犬のペディキュア、リハビリ、ストレス解消に水中フィットネス、酸素カプセルを楽しむ猫もいるという。

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著者プロフィール

津田 和壽澄(つだ・かずみ)

きものライフスタイル・コンサルタント、ソリテュード研究家。青山学院大学文学部卒業後、住友商事、デュポンジャパン、メリルリンチ証券、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツなど国内外でのビジネス経験を経て、1989年にコンサルティング会社を設立。「ひとりの時間」から生まれる効用を「ソリテュード(積極的孤独)」と名づけ、執筆、講演、テレビやラジオを通じてQOL(生活の質)を高める生き方として提唱する。2001年、ニューポート大学大学院人間行動学研究科修士課程修了。また2003年よりソリテュードというライフ・スタイルの1つとして「きもので犬の散歩」をコンセプトに365日の着物生活を実践。ウェブサイト「Kazumi流きもの」などで情報を発信する。主な著書に『孤独力―人間を成熟させる「ひとりの時間」』(講談社)、『もう、「ひとり」は怖くない』『「着たい!」私のふだんきもの』(いずれも祥伝社)など。



このコラムについて

ペットを看取るということ 天国の犬からの宿題

厚生労働省の調査によれば、日本国内の登録犬の数は2007年で674万頭にも上る。実際の飼い犬の数はその倍になるとも言われるが、これは15歳未満の子供の数1860万人を優に超えている。動物と飼い主との間に築かれる関係は、時に人間同士と同様に、またはそれ以上に強く深い。愛犬や愛猫の死―ペットロス―が引き起こす精神疾患や自殺も社会問題になっている。既に彼らは「飼うペット」ではなく、家族の一員と言えるかもしれない。このため、海外では「コンパニオン・アニマル」とも呼ぶ。このコラムでは、10年以上一緒に過ごした愛犬を失った著者の体験を通して、ペットと一緒に暮らすこと、その介護と死に関して、飼い主たちがぶつかる疑問や問題について考えていく。

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