• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

官製ベンチャーキャピタル「産業革新機構」への期待と不安

  • 濱田 康行

バックナンバー

2009年7月16日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 資本金900億円の官製ベンチャーキャピタル(VC)会社「産業革新機構」が8月にまでに設立される。景気低迷でも、将来性のある産業を育てるのが狙いにある。820億円は経済産業省が出資、8000億円の政府保証も付く、まさに官製巨漢ファンドと呼べる。社長には元あおぞら銀行会長の能美公一氏、COO(業務執行責任者)には米カーライル・グループ幹部だった朝倉陽保氏を迎えている。

 今、世間の関心は、解散総選挙に集まっているが、その間に「1兆円近い官製ファンド」が産声を上げる。巨額税金を使ってVCをやること自体が “サプライズ”だが、その運営内容を見ると、幾つかの疑問が浮かんでくる

[疑問1] 借金漬けベンチャーは育つのか?

 VCは官業に向いているか、それとも民業に向いているのか。答えは民業だろう。VCはうまく投資を回収すれば、投資額の何倍もの利益になる。しかし将来性が見通しにくいベンチャー企業への投資は失敗するリスクも大きい。そんなVC事業に国民のお金である税金をリスクにさらしていいのか。また、民間企業に公的資金を個別に投資するというのも資本主義の原理にはない。「現在は景気が低迷して緊急事態」という理屈が新機構を支える。機構の運営には時限(15年)があるのだが、15年も普通ではない状況が続く。通常、ファンド基金の償還10年だが、単純にそれに5年おまけをつけたのだろうか。

 最も心配なのは、借金機能に頼ってVCを運営する発想だ。政府保証があるから全国の銀行は喜んで革新機構に資金を融資するだろう。しかし、借りる側は金利を払うことになる。投資は、短期間で実を結ばないから、革新機構の単年度決算は当面赤字となる可能性が高い。「公的にやるから赤字でもいい」というのかも知れない。しかし「赤字でもいい」と言った瞬間に、経営は甘くなる。それなら経営者はいらない。

 VCの世界にいる人々は、このビジネスが借金との相性が悪い事を知っている。日本の場合、VCの歴史は長くはないが、これまでの経験で、融資のお金と投資のお金は水と油のように混ざらない事を知っている。

[疑問2] 2回目投資でベンチャーは伸びるのか?

 革新機構は、ベンチャー企業に対して、2回目の投資(セカンダリー)を狙う。つまり、どこかのVCが初期段階で投資して、その後の2回目は躊躇している折に登場するというわけだ。これまでは次の資金が得られずに伸び悩むベンチャー企業が多かった。そこに革新機構がセカンダリー投資をすれば、成長軌道に乗りやすいという狙いだ。しかし、VCが2回目の投資を躊躇するのはなぜだろう。とりあえず投資してみたが、その後、芳しい結果が出てないからというケースが多いはずだ。例えば、バイオ系の大学発ベンチャーなどはこの範囲に当てはまるのかも知れない。革新機構が救いの手を差し伸べるというのは“美しい”が、投資の世界では失敗する率が高い。2回目だろうと3回目だろうと、可能性と夢があるならVC自らの手で投資する。第三者に投資機会を譲ることは自らの資金が不足する時しか考えられない。だから下手をすると、セカンダリーは上質とはいえない投資を集めてしまう結果になる。

コメント2

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

グローバル市場でいい仕事をしたければ、まず「世界に通用する見識」を磨くことだ。

中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授