「ニュースを斬る」

証券と金融先物、垣根を越えた全面対決

大証FX開始は、取引所再編の“呼び水”に

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2009年7月21日(火)

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 大阪証券取引所の外国為替証拠金取引(FX)が7月21日午前にスタートする。先行する東京金融取引所(金融取、旧東京金融先物取引所)に遅れること4年を経ての新規参入だ。

 投資商品としては近年まれに見る一大ブームとなったFXを巡って、取引所間で競争の火ぶたが切って落とされた格好だ。証券と金融先物という旧来の垣根を越えた全面対決は、国内でも取引所再編の機運が高まるきっかけとなる可能性を秘めている。

 大証がFX参入を発表したのは昨年4月。金融関連システムで急成長中のシンプレクス・テクノロジーと共同してシステムを開発。当初予定から4カ月遅れで取引開始にこぎ着けた。「大証FX」は、米ドル・円やユーロ・米ドルなど、9通りの通貨組み合わせが投資対象。平日のほぼ24時間に渡って取引を行うことが可能だ。

受けて立つ金融取は、余裕の構えだが・・・

 今回、最大の特徴はハイブリッド型の取引方式を導入した点にある。金融取が採用するマーケットメーカー方式と、株式取引で広く行われているオークション方式を組み合わせた。前者は市場の流動性を高めるため、マーケットメーカーと呼ばれる指定業者が継続的に気配値を提示し、売買の相手方となる方式。後者は投資家からの注文同士を突き合わせて売買を成立させるものだ。

 ハイブリッド方式によって投資家が得られるメリットは、いくらの値段でどれだけの注文数量が入っているかが分かる「板情報」(相場情報)が見られる点。売り買い合計16本の「板」を基に、投資家は相場を読むことができる。「公平で透明性の高い市場」というのが、大証の掲げる売り文句だ。

 後発ながら大証にはブランド力や証券業界との太いパイプというアドバンテージがある。とはいえ、取引開始時の参加業者は思ったほど集まっていない。故巽悟朗・前社長の古巣である光世証券が7月に入って手を挙げたことで、やっと6社になった(ほかにマーケットメーカーが2社)。

 期待された松井証券や楽天証券などは、まだ様子見の構え。「まだスタートラインに立ったところで、口座数などは徐々に増やしていきたい」と大証から聞こえてくる意気込みも控えめだ。

 受けて立つ金融取はどうか。「大証FXのマーケットメーカーになったJPモルガン・チェース銀行は、うちのウェイティングリストにあった会社」と関係者は余裕を見せる。取引拡大で金融取のマーケットメーカーは6社にまで増えたが、野村證券や三菱東京UFJ銀行など堂々たるビッグネームが並ぶ。

 JPモルガンはそれらに続く参入希望業者だったが、今回は待ちきれずに鞍替えした格好。大証でもう1社のマーケットメーカーは新興のマネーパートナーズで、流動性の供給能力について疑問視する向きもある。

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著者プロフィール

高橋 篤史(たかはし・あつし)

ジャーナリスト。1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て、2009年よりフリーランスのジャーナリスト。著書に『ドキュメント ゼネコン自壊』『粉飾の論理』(いずれも東洋経済新報社)がある。



このコラムについて

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