今月20日は、米国が威信を賭けて、アポロ11号で宇宙飛行士ニール・アームストロング氏らを月面に送り込んでから、ちょうど40周年となる記念日だった。人類として月面に最初の一歩を刻んだアームストロング氏の言葉はあまりにも有名だ。「これは1人の人間にとっては小さな1歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍である」。
最近では、中国やインドが有人の月探査計画を打ち出している。再び大国間の宇宙開発競争が激化することは確実で、人類にとって大きな飛躍を期待できそうだ。米国は最強国としての座を守れるのか。昨年、宇宙基本法が成立した日本にも、悲願である宇宙大国への道が開かれるのか。
日本の宇宙産業を代表する論客である三菱重工業・航空宇宙事業本部の浅田正一郎宇宙機器部長に聞いた。
―― アポロ計画から40年が過ぎました。米国の宇宙技術について、どのように見ておられますか。
浅田 アポロ11号が打ち上げられたのは1969年7月16日でした。なぜ、正確に覚えているかと言えば、この日が私の14歳の誕生日だったからです。それこそ、テレビにかじりついてNHKの放送を見ていた。その時の感動があったから、宇宙技術者を目指したのです。
しかし、アポロ計画以降、米国では驚くほどの技術進歩があったとは言えないのではないでしょうか。
1980年に最初のスペースシャトルが打ち上げられました。当時、これは画期的な技術でした。しかし、スペースシャトルは開発から運用に移ったことで、米国でも優秀な技術者が宇宙分野に入って来なくなりました。優秀な人材は金融とかに行ってしまった。
現在の米国の主力大型ロケットにしても、設計は30年ぐらい前のものがベースとなっています。
次世代ロケット開発では日本に優位性あり
―― スペースシャトルの負担が重く、次世代技術の開発が遅れたという見方があります。
浅田 それが響いていることは間違いないでしょう。
スペースシャトルは当初、機体の再利用が可能であることから、宇宙予算の削減につながると期待されていました。しかし、実際には今でも1回の打ち上げに約500億円もかかります。これがほかの開発予算を食いつぶすような格好になりました。
来年でスペースシャトルは退役することになります。米国の宇宙大手であるボーイングやロッキード・マーチンと一緒に仕事もしてきましたが、ロケットについては三菱重工の技術が進んでいる部分が相当あります。
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