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カーティス・コロンビア大学教授、政権交代を語る

「古い自民党」とは決別せよ

2009年8月4日(火)

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 総選挙まで1カ月足らず。7月27日には、民主党がマニフェスト(政権公約)を発表。子ども手当の創設や、ガソリン税などの暫定税率廃止を盛り込んだ。主要政策の実行手順を示す2010~13年度の工程表も明記した。自民党のマニフェストは民主党に後れを取った。

 勢いづく民主党と押され気味の自民党──。「政権交代」が焦点となる今回の総選挙をどう見るべきなのか。海外の日本政治研究の第一人者、米コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授が語る。

ジェラルド・カーティス氏
ジェラルド・カーティス(Gerald L.Curtis)氏   1940年米ニューヨーク州生まれ。米コロンビア大学教授。自民党国会議員の選挙活動を追った『代議士の誕生』や『日本型政治の本質』などの著書があり、日本政治に詳しい。鳩山由紀夫氏や小泉純一郎元首相など、永田町にも知己が多い。

 民主党の話からしましょう。私は鳩山(由紀夫・民主党代表)さんを20年以上前から存じ上げていますが、顔つきが以前に比べて随分変わりました。党の幹事長に就任された頃からでしょうか、本当に政治家らしい顔つきになった。

 それまでの鳩山さんは、失礼ながら“ハムレット的”なところがありました。シェークスピアの悲劇『ハムレット』の有名な台詞「To be, or not to be」ではないですが、「政治家であるべきか、学者になるべきか」という迷いが顔に残っていた。幹事長に就任以降は、そのような表情を出すこともなくなりました。

 民主党自体も成長しました。2007年の参院選の頃は正直、民主党の政権担当能力に不安がありましたが、今は政権を取ることに対するリアリティーがある。私は民主党にも知り合いは多いのですが、若手の多くは政策の勉強をしっかりしています。雰囲気は2年前と随分違いますね。

 しかし、彼らが政権を取った後の姿は、正直まだはっきりとは見えません。高速道路の無料化や高校無償化は良いのですが、財源は本当にあるのか。財政のムダを徹底的に洗い出すといいますが、個人的には10兆円単位でそんな資金は出てこないと思っています。国債発行を増やし、財政をさらに悪化させれば、日本は世界から信用を失いかねません。

 かといって、マニフェストを実現しなければ、「約束破り」と国民から批判を受けるでしょう。これから、非常に厳しい立場に追い詰められるかもしれません。チェンジ(変革)は良いのですが、政権が代わっても混乱が続く可能性は十分にあります。

官僚批判もトーンダウン

 ただ、先ほどリアリティーと言いましたが、党幹部の発言を見ると、話がだいぶ現実的な路線になってきた。

 例えば、菅(直人・代表代行)さん。今年6月に英国に視察に行かれましたが、出発前の話し方と、帰ってきた後では官僚に対する発言は随分と変わりました。

 あれだけ官僚批判をしていたのが、帰国後は、官僚との協力体制が不可欠だと盛んに言っています。

 外交に関しても、反対し続けていた「インド洋で給油活動を展開している海上自衛隊の即時撤退」をマニフェストに盛り込みませんでした。現実を考えるようになったからでしょう。

 40年近く日本の政治を観察し続けてきたカーティス教授は、今回の総選挙を、「世代交代の選挙」と位置づける。

 今回の選挙は、日本の政治の世代交代という意味でも、大きな変化のある選挙だと思います。民主党が躍進した場合、自民党はベテラン議員を中心に、多くが落選することになる。民主党政権になれば、3~4年は解散しないでしょうから、古参議員はそのまま引退の可能性もあります。

「小沢チルドレン」が出現?

 民主党にしても、鳩山、菅、小沢(一郎・代表代行)の3人は60歳を過ぎていますが、ほかは皆若い。40代、50代を中心にした下の世代が政治の表舞台に出てくることになれば、政治にも活気が出てくると思います。

 ただし、不安もあります。2005年の総選挙では、自民党に「小泉(純一郎・元首相)チルドレン」が数多く誕生しました。一方、今回民主党が勝利すれば、「小沢チルドレン」が大量に出現することになりかねません。小沢さんは総選挙の責任者として必死に地方を走り回っています。勝てば当然、1年生議員の多くは「小沢さんのおかげで当選できた」となるでしょう。

 問題は、その数にモノをいわせて小沢さんが派閥として政党の政策や人事を決める行為に出ないかです。仮にそうなれば、これは古い自民党に逆戻りしただけ。民主党の支持は一気に低下するでしょう。

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「カーティス・コロンビア大学教授、政権交代を語る」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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