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有料でなければ伝わらないことがある

持続的に伝えていくために水俣病を「商品化」した

  • 吉永 利夫

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2009年8月6日(木)

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 水俣病が発見されて50年以上の年月が流れていますが、地元紙の熊本日日新聞には「水俣病」を報じる記事が今でもあります。いまだ多くのことが解決していない以上当然のことでもあり、半世紀を経てもなお「声を上げなければならない」被害者、沿岸住民の現実からすれば「とんでもないこと」が続いています。

 この半世紀以上の間に1度も法的な漁獲禁止や廃水停止処置をしてこなかったこと、不知火海沿岸住民の本格的な健康調査を実施していないことなど、「命を守る」こととはほど遠いことが山のようにあります。

 今回は、水俣病を伝える活動について、紹介します。

小学生から大学研究者まで多くが訪れる

 水銀ヘドロが埋められている「エコパーク(水俣湾埋立地)」横の丘の上に、水俣市立水俣病資料館が建っています。年間4万人以上の子供や大人たちが見学にやって来ます。隣接して熊本県環境センター、国立水俣病情報センターや、数年前まで水俣病の犠牲者を祀っていたメモリアルもあります。歩いて10分ほどの所にある親水護岸には、海の前に慰霊碑もあり、水俣病を考える中心地と言える場所となっています。

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 春と秋の修学旅行の時期には、資料館の見学スペースは、1日1000人以上の見学者が訪れます。市立水俣病資料館の展示は、見学者の中で一番多い小学5年生には少々難解な点もありますが、猫の実験や劇症患者の病状をモニターで見ることができ、最近では独自のテーマによる特別展も開催されています。

 運営は水俣市が行っており、入館料やDVDの貸し出しなど全て無料です。市長が委嘱した水俣病の語り部が15人登録されており、語り部の話に耳を傾ける多くの人々がいます。学芸員がいないこともあり、市役所から赴任する館長が変われば資料館としての調査、企画能力も大きく変わってしまう点などが気になります。

 隣接している国立水俣病情報センターにも展示がありますが、研究者向けということもあり、内容は難しいものになっています。

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 水俣病患者が多発した地域には、30年以上も水俣病患者家族を応援している水俣病センター相思社があり「水俣病歴史考証館」が附設されています。10年ほど前までは私もここに在籍し、職員としてこの小さな資料館を創ってきました。猫実験で使われた木製の小屋や、漁具、水銀ヘドロ、埋め立て工事用の看板など、目で見て触れられるような展示を心がけました。依頼すれば職員が展示内容を丁寧に説明してくれますから、深く水俣病を知りたい先生たちには好評です。見学は有料です。

 このほかにも多数の水俣病患者団体があり、裁判や交渉などを国やチッソと続けるほかに、水俣病を伝える活動も進めています。そうした患者団体を直接訪問する、大学教授やゼミの学生の姿も多く見かけます。

 私が理事長をつとめるNPO法人「水俣教育旅行プランニング」では、水俣市民の方々に「水俣ガイド」をお願いしています。主婦や市議会議員、団体職員など立場も様々です。修学旅行のバスなどに乗り込み、それぞれの方がご自身の人生を語りながら水俣病を伝えています。

 いわば、国、県、市、民間団体、患者団体、患者個人、そして市民が、様々な機会を捉えて水俣病を伝えているのです。

 「水俣病を伝える」時、私たちはどんなことをみなさんにお話ししているかをご紹介しましょう。

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