重度障害者の意思伝達を手助けする装置を世界で初めて開発。本人、家族が諦めていた患者のコミュニケーションを復活させた。開発したのは、医療に関心がなかった“ズブの素人”たちだった。
手足が不自由で、声も出せない。でも意識ははっきりしている──。
他者とのコミュニケーションを諦めていた重度障害がある患者に希望を与えた企業が兵庫県姫路市にある。テクノスジャパン(大西秀憲社長)だ。
同社は1999年、世界に先駆けて重度障害者向けの意思伝達装置用の「バイオスイッチ」を発売した。このスイッチは、脳波や筋肉を動かす時に発生する微量な電流の「筋電」、目を動かす際に発生する「眼電」などを感知して、電気信号に変える装置で、電子機器を動かすためのスイッチとして活用されている。

「コミュニケーション手段が全くなかった人たちに対し、どのようにすればそれが可能になるかを考えた。その答えが『生体信号』だった」(大西社長)
筋肉がどんどん萎縮してやせ細る「筋ジストロフィー」や「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」などの進行性の難病にかかる患者は、意識はしっかりとしていても体を自力で全く動かせなくなってしまう人が少なくない。
近年、重度障害者向けのコミュニケーションツールがたくさん開発されているが、こうしたスイッチを介さなければ活用できない。最も単純な「ON」「OFF」ができなければ、機械は動かせないからだ。
いただいたコメント
コメントを書く