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中国、再生エネルギーへの“本気度”

「自然エネルギーが地域紛争をなくす」――。アジアの風力、太陽光発電の可能性と課題

2009年8月11日(火)

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 中国の発電は、伝統的に石炭を使った火力発電による割合が大きく、今でも小規模な火力発電会社が数百社乱立しているのが現状だ。こういった小規模発電所の中には脱硫装置を持たないところもあるなど、環境面で大きな問題を抱える。

 中国政府は、こういった小規模発電所を閉鎖し、再生可能エネルギーへの転換を推進すると、温暖化対策に本腰を入れる姿勢を見せている。

 しかし、中国では高い技術力のある外資系の民間企業が再生可能エネルギーによる発電施設を建設しようとしても、思うように資金調達ができないという問題もある。

 こういった状況を背景に、アジア開発銀行(ADB)が資金面のサポートをする、日中合弁の風力発電プロジェクトが立ち上がった。

 中国内モンゴル自治区に建設予定の風力発電施設建設プロジェクトで、総額7300万ドルのうち、およそ2400万ドル(1億6400万人民元)をADBが融資する。

 ADBでこの融資を担当した木村寿香インベストメント・スペシャリストに、中国の発電事情と再生可能エネルギーへの取り組みについて聞いた。

(聞き手は日経ビジネスオンライン、飯村かおり)


 ―― 中国では再生可能エネルギーの発電能力を高め、新興国としても温暖化対策を進めているという姿勢を強く打ち出しています。今後の経済成長が期待される中国は、消費電力量も増えていくことが予想されます。再生可能エネルギーへの転換は、地球規模の温暖化対策としても望ましいと思いますが、中国の発電事情の現状はどのようになっているのでしょうか。

 木村寿香氏(以下、木村) 中国の発電は、伝統的に石炭火力が中心でした。再生可能エネルギーの活用は1970年代から取り組みが始まっていましたが、どちらかと言うと、送電網がカバーしきれない地域に対する電力へのアクセス手段という福祉的な意味の強いものでした。

規制を潜り抜けるために意図的に小さくしている発電所も

木村 寿香(きむら・ひさか)氏
一橋大学卒業後、ロンドン・ビジネススクールで金融、ロンドン大学インペリアルカレッジで環境経済学の修士をそれぞれ取得。欧州復興開発銀行(EBRD)を経て、2006年にアジア開発銀行(ADB)に入行。現在、民間部門業務局のインベストメント・スペシャリストとして、東アジア(中国、モンゴル)のクリーンエネルギー・エネルギー効率化関連インフラストラクチャー・プロジェクトを担当。現在はADB北京事務所駐在 (写真:大槻 純一、以下同)

 中国の発電事業は、旧国家電力公司を分割して設立した、中国大唐、中国国電など、5大発電業者が市場の半分を占めています。それ以外は、地方政府や民営企業が運営する小規模の発電事業者が数百社乱立している状況です。小さい事業者ですと、小規模な石炭火力の発電所を1カ所持っているだけのところもあります。環境規制を潜り抜けるために意図的に小さくしているようなところもあります。

 ―― そういった小型の石炭発電所は、環境面で問題のあるところが多いのではないでしょうか。

 木村 ひどいところでは黒い粒子が目に見えるくらいです。特に冬になると暖房を石炭で取っているところもあり、そういう都市の空気の質は劣悪です。

 地元住民への健康への影響に加え、さらに深刻なのは、石炭に多く含まれる二酸化硫黄によって生じる酸性雨の問題です。森林や農地に被害を与え、日本にも影響を与えています。さらに、グローバルレベルでは、温室効果ガスの問題があります。

 2009年2月に中国政府は31ギガワットの小規模石炭火力発電を閉鎖する計画を発表しています。既に、2008年には1669万キロワット分を閉鎖しました。これらの小規模発電所は脱硫装置など環境対策を怠っているだけではなく、エネルギーの効率が悪いものです。1キロワット時当たり370グラム以上の石炭を必要とします。大手発電事業者による発電所では、280グラム程度で発電可能です。

 小規模発電所を閉鎖するには雇用面の問題などもあり、難しい面が多くあります。代替するエネルギーの施設も必要になります。

 ところが、風力発電といった再生可能エネルギーで代替しようとしても、石炭火力に比べて高い技術が要求されるため、初期投資が高くなります。従って、投資できるのは銀行からの融資を優先的に受けられる大手発電事業者に限られます。

 ―― 中国政府の再生可能エネルギー推進に対する姿勢は、どのようなものなのでしょうか。

 木村 今、中国は非常に明確な政策目標を取っていることもあり、大手発電事業者は年間の再生可能エネルギーによる発電量をどれだけ増やすことができるかというインセンティブがあります。一方、小規模な民間事業者は、銀行の融資が限られ、オペレーションの技術もないので、風力発電に進出するのは難しいのが現実です。また、外資系銀行は長期の人民元建融資業務に制限があり、地場銀行が風況リスクの分析といった技術リスクの分析を行うのも難しい状況です。ADBには技術評価などの面で付加価値があると思います。ADBが率先してフロントランナー案件を支援することで、民間銀行の融資を再生可能エネルギー案件にシフトする一助になればと考えています。

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「中国、再生エネルギーへの“本気度”」の著者

飯村 かおり

飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経ビジネスクロスメディア編集長

2007年より「日経ビジネスオンライン」編集部に在籍。信頼できるおもしろいコラムを世に送り出すことを楽しみにやってきましたが、2015年よりクロスメディア編集長となり、ネットから紙の世界へ転身。書籍などの編集に携わっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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