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寺島実郎・日本総合研究所会長に聞く

「戦後外交」との決別を

  • 杉山 俊幸

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2009年8月27日(木)

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 総選挙が公示された。仮に政権が交代すれば、戦後一貫して続いてきた日米関係を中心とする日本外交のあり方も大きく変わる可能性がある。昨年秋のリーマンショック以降、米国中心の経済体制は大きく揺らぎ、日本の国際的な立ち位置も見直しが迫られている。日米、日中関係に詳しく、民主党の外交戦略にも影響を与えると言われる寺島実郎氏に聞いた。

  総選挙が公示されました。

  与野党が出したマニフェスト(政権公約)の中身を眺めながら、今、有権者は選択を迫られています。重要なのは個別の政策についての是非もさることながら、真に問われるべきは、背後にある「政策思想の軸」です。

外交転換の歴史的必然

 我々、日本人はここで思慮深く、冷戦後の20年間を振り返るべきでしょう。単純な意味でのグローバル化あるいは新自由主義なる言葉に酔いしれた時代から、その光と影を見据えて、どう舵を切るかという重要な転換期を迎えています。私はある種の歴史的な必然性を感じます。

寺島実郎氏
寺島実郎氏。1947年8月北海道生まれ、62歳。三井物産に入社後、ブルッキングス研究所出向。米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産戦略研究所所長を経て、現在、同研究所会長。日本総合研究所会長、多摩大学学長も兼ねる。(写真:的野 弘路)

 例えば経済・産業という「内政」と外交・安全保障という「外交」は別々に語られることが多いが、実は違う。「内政・外交一元論」と言ってもいい。それを貫く政策思想が肝要です。

 外交・安全保障の在り方を考える時、まず経済・産業の数字が大切になります。冷戦が終わったと言われた1990年、日本の貿易総額に占める米国との貿易比重は28%でした。ところが今年上半期はそれが13.7%まで下がっている。

 一方、中国との貿易を見てみると、90年のわずか3%の比重が20.4%になった。日本は、中国を中核とするアジアとの貿易比重が5割という時代を迎えている。日本の国際的な立ち位置の変化を象徴する数字と言えます。アジア、さらに言えばユーラシアとのヒト、モノ、カネの交流に軸足を置く国に大きく性格を変えたことになる。

  日米連携は希薄化していく。

  いえ、同盟外交の基軸は安定持続されるべきです。ただし、現実主義的な対応が「固定観念への回帰」では意味がない。米国との信頼関係を基盤としつつアジア、ユーラシアに重層的な信頼関係と安定的な基盤作りが求められる時代になった。アジアとの関係を重視すればこそ、米国との関係をどんな原則で見直すかが大切になる。

 私は、欧州における英国が果たしている役割を、アジアで日本が担うべく腹をくくる必要があると考えています。米国をアジアから孤立させない役割を日本が行う。そのためには日本がアジアから信頼されねばなりません。

コメント6件コメント/レビュー

問題とすべき点は、民主党が政権を取った場合、どこまで踏み込んだ対応が実現出来るかということに尽きると思う。「基地の段階的縮小と地位協定の改定を提起」しただけで終わってしまい、軍事的空白を自らが埋めるべく、軍事力の強化など党内の左派が反対する政策の実現が出来なければ、結局自立した国家とはなり得ない。この肝心な点を選挙前に明確に出来ない限り、民主党の安全保障政策には、疑問符がつくことになる。米中との関係以前の主体的な内政問題だ。(2009/08/28)

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いただいたコメント

問題とすべき点は、民主党が政権を取った場合、どこまで踏み込んだ対応が実現出来るかということに尽きると思う。「基地の段階的縮小と地位協定の改定を提起」しただけで終わってしまい、軍事的空白を自らが埋めるべく、軍事力の強化など党内の左派が反対する政策の実現が出来なければ、結局自立した国家とはなり得ない。この肝心な点を選挙前に明確に出来ない限り、民主党の安全保障政策には、疑問符がつくことになる。米中との関係以前の主体的な内政問題だ。(2009/08/28)

『攻撃もできる自衛隊』のコメントに強い危惧を感じました。19世紀に始まった近代兵器による大量破壊・大量殺戮の護国論に囚われている人のなんと多いことか(核の抑止力神話を含めて)。軍備最優先のソヴィエト連邦は、その膨大な軍備費用が一因で早々に破綻し、対して世界最強の軍事力を誇ったアメリカ合衆国も、テロ攻撃の前に成す術もありませんでした。テロとの戦いと称して注ぎ込んだ膨大な軍事費も、それを支えた金融システムと共に破綻しました。最低限の警察力程度の武力は必要ですが、強大な軍事力を背景にした外交の時代は既に終わっています。21世紀に始まる次の、未だ世界のどの国も始めていない、外交戦略の取れる国は、日本をおいて他にないと考えます。先駆者の辛さは、十分承知の上、今の転換期から、すばらしいものが沢山あるこの国から、世界中の誰も足を踏み入れたことのない領域へ、一歩を踏み出してもらいたいと、切に願います。(2009/08/28)

寺島氏の議論には概ね賛成ですが、氏の言うような国家に日本がなろうとするには、憲法9条を改正し日本が「普通の国」になることがまず前提条件となるのではないでしょうか。氏の指摘する日本外交の歪みは、これだけ大きな国家規模をもつ日本が、軍事力によって自分で自分の国を守る能力も意思もなく、それを米国に依存していることに起因しています。「保護領」などという侮辱的な表現も、その辺を見透かされているから出てくるのでしょう。民主党の政策を見る限り、米国への従属の否定を叫ぶのはいいのですが、自立のための方策が全く見えません。アジアに平和を構築することでその問題は軍事力はいらないと考えているような人が民主党に散見されますが、日本以外の中国・韓国その他すべての国は、他国への攻撃力を持つ軍事力の存在を前提として、平和外交の理想を語っています。今のままでは、米国からすれば甘やかされた子供のだだ以上のものにはならないでしょう。(2009/08/27)

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三品 和広 神戸大学教授