民主党が30日の総選挙で勝利を収めた。経済の立て直し、特にバケツの底が抜けたような雇用喪失状態にいかに迅速に手を打てるのかが問われている。「雇用大崩壊 失業率10%時代の到来」など多くの著書があり、小泉政権以来の構造改革路線を厳しく批判してきた上武大学ビジネス情報学部の田中秀臣教授に聞いた。
民主党政権になっても、それを支える議員の多くが素人だ。「官僚任せにしない」とは言っているが、本当にそれをやったら、大きな混乱を招くのではないだろうか。無政府状態が続く可能性もある。
今後2年弱で失業率は7%台に
心配しているのは、雇用の問題だ。ただでさえ深刻な状況に陥っている。
最近1年ぐらいで、「失われた10年」に相当するほどの雇用が失われた。完全失業率は6月の速報値で5.4%。これから1年半から、2年で7%台に上がる可能性がある。
1つの大きな理由は、新卒採用がこれから大きく落ち込む可能性があるからだ。大学も、専門学校も、高校も新卒の採用が大きく落ち込み、若年層の失業が増える。
恐ろしいのは95年代半ばからの「失われた世代」と言われる若者と同じ境遇の人たちが“再生産”されかねないことだ。おそらく、就職を断念する層が増えていく。
これは「求職意欲喪失者」に分類される。完全失業率には含まれないが、全労働人口の2%ぐらいは占めているだろう。今後の就職戦線の厳しさで、意欲喪失者が大幅に増える可能性がある。だから、実質的な失業率は10%に近くなっていく。
失われた世代は正社員になれず、経済的にも恵まれない。そして、既に30代半ばになっている失われた世代も、子供を作ったり、育てたりすることが難しい。貧困に陥っているわけだ。
失われた世代が再生産されると、こうした貧困層がさらに増えてしまう。だから、できるだけ早く景気を回復させ、もう失われた世代が生み出されないようにしなければならない。
「企業内失業」が「失業」に移行していく
企業の余剰人員が増え、リストラで失業者が増える可能性もある。内閣府の推計によれば、今年1〜2月には、企業内失業者が600万人以上いるとされていた。
これは従来の日本の雇用システムの特徴ともいえるが、「社員を抱える」ことが健在だという意識によるものだ。ただ今後、あまりにも景気の落ち込みが激しいと、これらの企業内失業もやがてリストラされて失業率を押し上げるのではないか。
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