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「格差=不公平」とは一概に言えない

公的年金の格差は不公平なのか?

  • 伊藤 亮太

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2009年8月26日(水)

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 ここ数年で「格差社会」という文字を目にしたり聞いたりする機会が多くなった。また、「勝ち組」や「負け組」、「下流社会」といったそれに付随する用語も何気なく普段の会話の中で出てくることが多い。

 「格差社会」という言葉が、2006年の新語・流行語としてノミネートされたことからも分かるように、日本においても所得格差や資産格差といった経済的格差をはじめとした「格差」がいろいろな所で見られ、拡大傾向にあるようである。

 しかしながら、格差があることは一概に不平等であるとは言い切れない。例えば、日本においては、職業選択の自由のもと、実力があれば大企業の社長にもなることは可能であるし、独立開業することも可能である。年齢制限はあるものの、手を挙げれば選挙にも出馬することは可能である。

 つまり、同じ世代の中においては、機会が平等である限り、そこから生ずる格差があったとしても、それが許容できるものであれば不公平なものとは言えないのではないだろうか。金銭的な格差はあっても、楽しい人生がおくれるかどうかはその人次第。お金持ちになったからといって果たしてそれがその人の望んだ道と同じかどうかはわからない。

 結局のところ、その人の価値観に依存するところも大きく、格差が生じたといっても不公平とはいいきれないのである。また、そうした同じ世代内における格差以外にも、世の中には世代をまたがる格差も実際起こっている。

格差があることは不公平といえるのだろうか?

 その典型的な例が公的年金制度であろう。現行の公的年金制度においては、働く現役世代が払い込んだ保険料を現在の高齢世代に年金として支給する「賦課方式」を主軸としており、世代間で所得が移転する「世代間扶養」の仕組みが採用されている。

 この制度のもとでは、人口変動の影響にどうしても左右される。つまり、公的年金のなかにおいては、高齢世代の人数が多くなり、現役世代の人数が少なくなれば世代間の格差は当然生ずるのである。しかし、このことは果たして不公平といえるのだろうか。

 慶応義塾大学の権丈善一教授が著書『年金改革と積極的社会保障―再分配政策の政治経済学II』(慶応義塾大学出版会)の中で指摘するように、「世のなかには、格差があることと公平を欠くこととを不注意にも同義で用いている者が、非常に多い」のであり、経済成長等により、前の世代よりも今の世代の方が生活水準が高くなっている場合においては、公的年金のなかで見られる世代間の格差(若い世代の方が損をしていると指摘される格差)は許容できる格差なのではないだろうか。

 この年金制度内だけで論じられた世代間格差問題は、生活水準が前の世代よりも良くなっているという事実を考慮していないがために、国民に公的年金制度への不信感を募らせるだけとなってしまってはいないだろうか。

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