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「名ばかり正社員」が家族を養えるのか

非正規雇用の禁止だけでは、問題は解決しない

  • 小林 美希

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2009年8月30日(日)

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 若者の雇用が不安定化し、失業率も上昇している。15~34歳の若年層で非正社員は、内閣府「国民生活白書」によると1990年に183万人(同世代の10.4%)だったものが、2001年に417万人(同21.2%)となった。そして、2008年では448万人(同28.8%、総務省「労働力調査」)となっている。

 働き盛りの25~34歳の完全失業率をリーマンショック以降で見てみると、男性は2008年9月の5.1%から2009年6月は7%に上昇。女性は同5.7%から6.1%に上昇している。男性の失業率の上昇は、製造現場の「派遣切り」の影響の現われだ。

 こうした中で、民主党がマニフェストで示した雇用対策の柱は、以下の通り。

(1)失業中の第2のセーフティーネットの創設(月額10万円程度の手当てを支給)
(2) 製造現場への派遣や日雇い派遣を原則禁止
(3) 最低賃金の引き上げ
(4) ワークライフバランスと均等待遇を実現

 また、雇用不安に伴う子育て支援の目玉として、次のような政策も掲げている。

(1) 1人当たり年額31万2000円(月額2万6000円)の「子ども手当て」の支給
(2) 公立高校の実質無償化と私立高校生への学費不安の軽減
(3) 待機児童の削減

8年間で3倍超の派遣労働者

 さて、政権交代後、次世代を育む若年層の働き方は変わるのだろうか。

 労働法制で大きな焦点となっているのが、労働者派遣法の見直しだ。特に細切れ雇用となって簡単に雇用調整されやすい製造現場への派遣や、日雇い派遣の是非が問われてきた。

 民主党は、(1)製造現場への派遣禁止(新たな専門職制度を創設)、(2)2カ月以下の派遣の禁止、日雇い派遣やスポット派遣の禁止、(3)期間制限を超えた派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」――を公約している。

 そもそも、1986年に施行された労働者派遣法は、何度にもわたって規制緩和が行われてきた歴史がある。その度に市場は膨らんだ。

 厚生労働省によると、86年度の派遣労働者数は約14万人、売上高は1968億円だった。それが年々増加し、派遣が原則自由化された99年度の派遣労働者数は約106万人、2007年度は同381万人と、この8年間で3倍以上になった。2007年度の売上高は前年比19.3%増の6兆4652億円という勢いだ。

 製造業派遣は、2004年に派遣期間1年を上限に解禁され、2007年に3年へ延長された。工場の生産ラインなどで製造業務に従事した派遣労働者数の内訳は、2005年度で7万人弱、2006年度で約24万人、2007年度で約46万人となっている。

 本来、請負労働者は派遣先企業で指揮・命令を受けてはいけないが、実際には派遣先の指揮下にあり偽装請負が社会問題化。大手製造各社は2006年に一斉に請負から派遣に切り替えていたため、もとは「出稼ぎ」「請負」「期間工」という名で働いていた労働者が「派遣」に名前が切り替わっただけなのだ。

 現在、人材ビジネス市場では、日雇い派遣の禁止を睨んで「日々紹介システム」が広がりを見せている。派遣と同じように、人材紹介会社が登録者と企業をマッチングして紹介するシステムだが、派遣の場合は登録者が派遣元と雇用契約を結ぶ一方で、日々紹介システムは登録者と紹介先の企業が雇用契約を結ぶことで、「派遣」ではなくなる。

 法で規制をかけても、一度、派遣など非正規雇用のうまみを覚えた企業にとっては、それは“麻薬のようなもの”であり、いくらでも法の網の目をくぐり、日雇いを続けていくことになる。

 それゆえ、製造現場への派遣だけを禁止しても、日雇いアルバイトや請負など雇用形態だけが変わり、非正規のまま働くことになる。さらに、現状では、日雇い派遣が、失業中に食いつなぐための事実上の失業対策となっていることから、それを禁止すれば失業者が増えるだけだろう。

コメント12件コメント/レビュー

たとえば景気の振幅が大きいのは、需要の振幅が大きいからで、需要の振幅が大きいのはひとつには景気刺激策なるものが期間限定だからではないか?たとえば現在アメリカでエコカーを購入する場合、政府から補助費が出るようだが、これが期間限定であるために駆け込み需要が増す。メーカは売り上げ機会を逃さぬように能力以上の生産を余儀なくされる。設備は後になって余剰資産になるから、(いつでも切れる)人海戦術でその場をしのぐ。。こんなことは世界に共通なルールを決めない限りなくならないのではないか。公平なルールを決めることは自由な競争を阻害するものではないと思う。(2009/09/01)

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いただいたコメント

たとえば景気の振幅が大きいのは、需要の振幅が大きいからで、需要の振幅が大きいのはひとつには景気刺激策なるものが期間限定だからではないか?たとえば現在アメリカでエコカーを購入する場合、政府から補助費が出るようだが、これが期間限定であるために駆け込み需要が増す。メーカは売り上げ機会を逃さぬように能力以上の生産を余儀なくされる。設備は後になって余剰資産になるから、(いつでも切れる)人海戦術でその場をしのぐ。。こんなことは世界に共通なルールを決めない限りなくならないのではないか。公平なルールを決めることは自由な競争を阻害するものではないと思う。(2009/09/01)

今は職安行ったって、正社員はおろか派遣でさえほとんどありません。派遣切りへの風当たりが強くなって、企業の生産拠点はさらに海外に移ってしまいました。人材にツバだけ付ける「空求人」もますます増えています。先日「時給700円の正社員」の求人票がありました。コンビニでバイトした方がましだと思ったら、近所のコンビニがどんどんつぶれています。残念ながら人件費は変動費になってしまったのです。厳格な対応をしすぎると、本当に何も無くなるのです。ノギスの使い方を知っている中国人は日本人よりも遥かに安い賃金で働くでしょう。ご老人はしこたま貯めこまれた富をこの世で大いに消費し、次の世代を救って頂きたいものです。(2009/08/31)

松下政経塾のようなエリート集団卒業生を候補者に圧倒的にした民主党!本当にしたずみから働いた経験のない多くのエリ-ト代議士は官僚と基本的な考え方は同じでしょう!筆者の言われるように多分15万円の正社員でお茶を濁す結果でしょう!労働組合、日教組が中心後援の民主党、これからこれらと如何に決別していくのか!豪腕小沢氏の渦の中でめまぐるしく君子?豹変することでしょうね!(2009/08/31)

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三品 和広 神戸大学教授