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民主勝ち過ぎ、「2大政党制」雲散霧消か

自民残党、「野党の覚悟」と“乗っ取り”の算段

2009年8月31日(月)

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 「この国に2大政党制を根付かせよう」「そのために1度、民主党にやらせてみてください」「政権交代が必要なんです」――。幾度も念仏のように唱えられた民主党の言葉に、国民は応えた。

 2大政党制を目指した小選挙区制が導入されたのは1996年の衆院選。それから5回目となる総選挙で、民主党は悲願の政権奪取を果たした。

 しかし、その一翼を担うべき自民党の負けっぷりが、あまりにひどい。単独過半数を大きく上回った民主党とは対照的に、前回議席の半数をも下回った自民党。1955年の結党以来、経験したことのない甚大な傷を負った。

 「小沢(一郎代表代行)さんは、民主党が新しい自民党になればいいと考えている。2大政党制を根付かせる気はない」

 選挙を終えて、ある自民党の大物議員は、こうつぶやいた。自民党の瓦解もささやかれるほどの大敗に、党内の士気は大きく落ちている。それは、自民党の危機であると同時に、2大政党制の危機でもある。(文中敬称略)


 その男は、自身の名前が大きく入ったたすきをかけ、スタッフを誰もつけずに駅前にぽつりと立ち、しゃがれた声を張り上げ、帰路に着くサラリーマンや学生を出迎えていた。

 「河野太郎です! おかえりなさい! 河野太郎です! お疲れ様です! 河野太郎です…」

河野太郎氏は、選挙戦期間のほぼ毎日、朝と夜、たった1人で駅前に立ち続けた
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 選挙戦、残すところ20数時間。8月28日、JR茅ヶ崎駅、夜の9時。この日河野は、朝は同じ場所で通勤客を見送り、日中は選挙区内をつぶさに回り、夕方は駅前2カ所で遊説を行い、夜は3カ所で個人演説会をこなした。

 最後の演説会が終わったのは夜の8時半。すぐさまクルマに乗り込んだ河野は、茅ヶ崎駅へ着くと1人で降り、階段を駆け上がり、いつもの場所に立った。そして、2時間近くもの間、声を張り上げ続けた。こんな日が、毎日、続いている。

 3代続いた「河野ブランド」の地盤を引き継ぎ、全国的な知名度を誇り、前回の選挙では全国で2番目となる得票率を稼いだベテランの代議士が、まるで新人候補のように、自身の名を連呼し続けていた。

「おまえは一番外れているから、自民党の冥王星だ」

 河野であっても、「厳しい」「苦しい」と言い続けた神奈川15区。だが有権者は、またしても、河野を選んだ。比例区の獲得票数は、民主党が自民党を上回った。しかし小選挙区では河野が、民主党の対立候補を辛うじてかわし、当選した。

 それは、自民党としてではなく、河野太郎として戦ったからにほかならない。

 河野は13年前、小選挙区制が導入された衆院選で初当選した。国会に行き、「今の年金制度はもうダメです。抜本的な改革が必要です」と訴えると、先輩議員から白い目で見られた。

 「冥王星は太陽系の一番外れたところをぐるぐると回っている。おまえは自民党の中で一番外れているから、自民党の冥王星だ」(編集部注:冥王星は長らく太陽系9番目の惑星とされてきたが、2006年以降は「準惑星」と定義されている)

 重鎮に呼びつけられた河野は、こう揶揄された。あまりに悔しくて、「冥王星が外れているのではありません。太陽の位置がずれているんです」と言い返してやった。

 3年前、ポスト小泉を決める総裁選に手を挙げた。「年金改革をやるなら河野太郎、やらないなら安倍晋三」というキャッチフレーズを掲げ、20人の推薦人を集めたが、結局13人しか集まらなかった。河野は語る。

 「今にして思えば、自民党の間違いはそこから始まったのではないかと思います。もしあの時、河野太郎が総理をやっていれば、少なくとも、今、年金制度だけは抜本的な改革が終わっているはず」

森喜朗に怒られ、与謝野馨に怒られ…

 昨年6月に発足した自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」では中心的な役割を果たした。各省庁、すべての予算を総点検、課長クラスのヒアリングに要した時間は延べ200時間を超えた。

 あまりにバラ色の説明で胡散臭いと感じた時は、担当部署など現場に乗り込み、予算の使い道を徹底的にチェックして詰めた。ついには局長や次官クラスが自民党本部の重鎮に「何とかしてくれ」と泣きついた。

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「民主勝ち過ぎ、「2大政党制」雲散霧消か」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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