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“脱官僚、天下り禁止”に覚える違和感

民主党の経済政策を点検する(2)

2009年9月4日(金)

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 民主党はドラスチックに政策決定プロセスを変更しようとしているようです。「官僚支配からの脱却」がスローガンなのですから、当然だと言えるでしょう。

 この点については、私自身長い間官僚として仕事をしてきましたので、相当の違和感があります。我々は、自分自身の経験によって身についた考え方から逃れることは難しいものがあります。私自身の考えも、官僚としての経験に基づくものなので、あるいは官僚寄りのバイアスがかかっているかも知れません。

 しかし、以下に述べることは私の偽らざる考えであり、官僚の味方をするためではなく、日本全体のために何が必要かを考えた上での議論であることもまた間違いありません。このような前提で読んでいただきたいと思います。

根回しのために説明する政治家の数が増えるだけ

 まず注意すべきことは、政策決定プロセスの議論は、政策の中身の議論ではないということです。プロセスを変えたからといって、立派な政策が行われるとは限りません。その割には、政策決定のプロセスを変更するには多大の時間的、経済的コストがかかります。

 こうした点を考えると、従来の政策決定プロセスを大きく変えようとすることは「労多くして功少なし」の議論であり、「政策をどう決定するかよりも、どんな政策を実施するかを論じた方が良い」というのが私の考えです。

 ではなぜ「労多くして功少なし」なのでしょうか。具体的に述べていきます。

 第1に、民主党のマニフェストでは「政府に大臣、副大臣、政務官(以上、政務三役)、大臣補佐官などの国会議員約100人を配置し、政務三役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する」としています。私は、この案は中途半端だと思います。

 現在でも政府には60~70人の国会議員が参画していますから、100人を送り込むということそのものは、実はそれほど劇的な変革ではありません。問題は、こうして送り込まれた国会議員がいずれも局長の上に立つ役割を担うということにあります。

 各省庁で具体的な職務についての責任者は各局の局長です。局長は局全体の仕事を統括し、行政を担っていく役割を担っています。送り込まれてくる政治家は、局全体の仕事の基本的な方向を決めるという役割を果たすことになりますが、そうであればそれほど多くの政治家は必要ないと思います。役人にとっては根回しのために説明して回る政治家の数が増えるだけの結果になります。

 もちろん、局長自身を政治的に任命するという方法もあります。これは劇的な改革となりますが、その場合は政治家ではなく、官僚そのものを新たに任命する必要があります。

 民主党の案は、政治家が基本方向を示して具体的な実務は官僚という従来型の仕組みと、実務の責任者を政治的に取り替えるという仕組みの中間であり、中途半端な改革にとどまっているように思われます。

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「“脱官僚、天下り禁止”に覚える違和感」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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