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どう越える?「財源」のハードル

民主党の経済政策を点検する(3)

2009年9月8日(火)

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 選挙中から、民主党の政策に関して誰もが指摘していたことが、財源問題です。今回はこの問題を詳しく検討してみましょう。

 マニフェストに盛り込まれた様々な施策を実現するためには、平成22年度で、7.1兆円、平成25年度では、16.8兆円の経費が掛かると説明されています。民主党のマニフェストは、その財源として、特別会計も含む国の総予算207兆円(平成21年度)から、効率化により9.1兆円、埋蔵金などから5兆円、租税特別措置から2.7兆円を捻出するとしています。このシナリオは実現可能でしょうか? 以下では、新政権が直面するハードルの高さを測ってみたいと思います。

本当に、207兆円からの捻出なのか?

 総予算207兆円(より正確には206.5兆円)から捻出するとされている9.1兆円。しかし、マニフェストに書いてあるように、実際捻出できるのは、国債償還費や年金・医療保険給付や借入・貸付金などを除いた、71兆円程度が対象です。

財源16.8兆円はこうして捻出(民主党のマニフェストより引用)

1.国の総予算207兆円を徹底的に効率化。ムダづかい、不要不急な事業を根絶する。
(単位:兆円)

区分 平成21年度予算額 節約額
公共事業 7.9 1.3
人件費等 5.3 1.1
庁費等 4.5 6.1
委託費 0.8
施設費 0.8
補助金 49.0
借金返済等(ほぼ全額が国債償還費) 79.6
年金・医療等保険給付 46.1
繰入・貸付金・出資金 9.9
その他 2.5 0.6
小計 206.5 9.1

2.税金などをため込んだ「埋蔵金」や資産を国民のために活用する。

改革の対象 活用額
「埋蔵金」の活用 4.3
政府資産の計画的売却 0.7
小計 5.0

3.租税特別措置を見直す

公平で透明な税制を創る 2.7
平成25年度に実現 16.8

 さらに、この約71兆円のうち、補助金が49兆円ですが、この中には、約17.8兆円の地方交付税等が含まれています。公共事業費7.9兆円には、減価償却費(つまり、維持補修費、これを怠ると道路に穴が開いたりする。平成18年度決算で4.7兆円)も含まれており、新規事業に回されている予算は既に相当絞り込まれています。さらに、予備費も例年通り程度は必要でしょう(例年は3000億程度。本年度は1.3兆円。経済緊急対応予備費まで含めると2.3兆円)。従って実際手がつけられそうな歳出は、多くて48兆円程度だと考えられます。

 すると、実際には、48分の9.1、つまり約2割の削減が必要ということになります。マニフェストではすでに人件費を2割カットするという方針が示されていますが、9.1兆円を捻出するためには人件費だけでなく、手のつけられる経費全体としても2割カットが必要ということになります。

 もっとも、人件費の2割カットもかなり難しいと言わざるをえません。人件費をカットするには、人数を減らすか、賃金を引き下げるかのどちらかしかありません。人数は減らせるでしょうか。

国が赤字なら公務員の給与カットは当たり前か

 国家公務員数は約64万7000人ですが、このうち、約27万人が防衛省職員(主に自衛官)です。その他には治安関係や税務関係、社会保険関係さらには国立病院の医療スタッフなどが含まれています。常識的に考えても人数面で削減が可能な範囲は相当狭いと考えられます。

 地方に業務を移管するとしても、その財源をどうするかという問題があります。財源も一緒に地方に移管すれば、国の歳出は減りますが、歳入も減るので、歳出カットにはなりません。財源を地方に渡さないのであれば、国の代わりに地方の財政赤字が増えるだけのことになります。

 では、賃金を一律2割カットしたらどうでしょうか。多くの人は「国がこれだけの赤字なのだから、国の職員の給与を2割くらい削っても構わないのではないか。民間企業なら当然そうしているはずだ」と思うかもしれません。しかし、この考えは誤りだと、私は思います。

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「どう越える?「財源」のハードル」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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