「ニュースを斬る」

旧グッドウィル折口氏、「札びらの復讐」の代償

最近は「地下鉄で英語学校通い」とも・・・

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2009年9月10日(木)

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 人材サービス大手の旧グッドウィル・グループ(現ラディアホールディングス=ラディアHD)を創業した折口雅博元会長が個人破産していたことが明らかになった。

 債権者である大和証券担保ローンが資産管理会社「折口総研」(東京都大田区田園調布)の破産を申し立てたのは6月11日。東京地裁による破産手続き開始決定は9月1日のことだった。折口総研の負債は債権者5名に対し302億円。折口氏個人の負債も債権者1名に対して10億円に上る。

引き金はラディアHDの経営不振

 昨年3月にサーベラスとモルガンスタンレーの米系投資家連合に経営権を譲り渡して会長を辞任して以降、折口氏は米ニューヨークに渡った。グループの米国法人の顧問というのが唯一残された肩書だったが、「毎日、地下鉄に乗って英語学校に通っている」(サーベラス関係者)のが実態だったようだ。グリーンカードの取得を目指していたともされる。

旧グッドウィル・グループを創業した折口雅博氏
写真:海老名 進(スタジオ・イフ)

 実質的な所有権が投資家連合に移った保有株には「先買権」(買い戻しの権利)が付され、折口氏の経営復帰にかける執念が憶測を呼んだこともあったが、巨額の買い戻し資金を工面できるはずもなく、結局は破産への道を転げ落ちた。

 債権者が第三者破産という異例の手段を行使して回収に走ったのはなぜか。

 指摘されるのは、経営不振が深刻化する一方のラディアHDが事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請したことだ。同社がADRの申請方針を明らかにしたのは6月15日で、破産申し立ての時期と符合する。9月1日にはADRの手続きにおいて100%の減資をすることが発表された。

 折口氏が金融機関に担保提供している資産で最も潜在価値が高かったのは、まだ手元に残されていた一部のラディアHD株。その価値がゼロになるわけだから金融機関も黙って見ているわけにはいかない。裁判所の破産決定と減資の発表が同じ日だったのは、偶然ではないと考えることもできる。

「利益は自分、負担は会社」の構図

 折口氏のこれまでを振り返ると、これほど自らの会社に執着した経営者も珍しかったような気がする。

 そもそも折口総研が巨額の負債を抱えるに至った原因は、折口氏が自らの支配権を維持したいがためだった。2006年2月に折口総研は旧グッドウィルの転換社債を大量に取得。その資金はみずほ銀行からの借入金で賄った。借入総額は272億円に達した。

 これに対して折口氏は「私の持ち株比率を増やして買収防衛しようという目的で借りた。借入金があっても金利負担があるだけだと思っている」(2007年6月のインタビュー)として、この時点では意に介するようなところがなかった。

 自らの会社への執着は、個人と会社が渾然一体となる危うさを抱えていた。言い換えれば、公私混同である。

 旧グッドウィルはジャスダックから東京証券取引所1部に鞍替えする過程で、折口氏や個人会社、それにほかの役員が保有する介護子会社コムスンの株式を買い取ったことがあった。なぜ親会社の経営者が、子会社の株式を個人で所有していたのか。

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著者プロフィール

高橋 篤史(たかはし・あつし)

ジャーナリスト。1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て、2009年よりフリーランスのジャーナリスト。著書に『ドキュメント ゼネコン自壊』『粉飾の論理』(いずれも東洋経済新報社)がある。



このコラムについて

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