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2009年9月18日(金)

「革命は社長にしか起こせない」

74歳で“出戻り”、エステー社長の執念

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 デザイン革命――。こんなキーワードで成長戦略を描こうとしているのが、消臭芳香剤や防虫剤などの日用品大手メーカー、エステーだ。

 2009年3月期は、売上高が前期比4.5%減の448億7900万円、純利益は同16.9%減の10億7600万円で、7年ぶりの減収減益となった。なかなかヒット商品が生まれない窮状に、2007年にいったん会長に退いた創業一族の鈴木喬氏(74歳)が4月から社長に復帰し、陣頭指揮を執る。

ヘリクツよりも思い入れ

 この鈴木社長が掲げた「デザイン革命」の第1弾商品が、9月18日に発売する電子式消臭芳香剤「自動でシュパッと消臭プラグ」である。2006年に米経済誌『ニューズウィーク』で「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた著名デザイナーの佐藤オオキ氏を起用して、商品デザインを一新した。もっとも、電子式は消臭芳香剤の市場シェアでは10%程度を占めるに過ぎず、まだ広くは普及していない。

 改革を促すのであれば、「消臭力」といった主力の大型売れ筋商品を刷新してインパクトを打ち出すのが王道だろう。あえてニッチ商品から手をつけるのでは、本気度が問われかねない。その真意を鈴木社長はこう明かす。

鈴木 喬(すずき・たかし)氏
1935年、東京生まれ。一橋大学商学部卒業後、日本生命を経て、86年にエステー化学(現・エステー)に入社。98年に社長、2007年に会長。今年4月より、会長兼社長に。自宅が専門誌に紹介されるほどの建築愛好家。また、海外に旅行すればアンティークショップに立ち寄り、ファッションや車などの流行りを気にする。おしゃれ坊主風にキメた今日の髪型は、美容師と相談して決めたという

 「まずは電子式の良さをいかにたくさんの方に理解していただいて、お買い求めいただくかですね。電子式は30〜60分間隔で消臭芳香剤を噴き出す仕組みで、現在の主流である消臭芳香剤を放出し続けるタイプよりも、効果を実感し続けることができます。実際、欧米の消臭芳香剤市場のシェアを見ると、半分近くが電子式になっていますし・・・ヘリクツはいろいろとありますが・・・、要は私がこれをやりたかったんです(笑)。これをやりたくて、社長に帰ってきたようなものですね」

 この思い入れは11年前にさかのぼる。初めて社長に就任した1998年のことだ。

 「最初に手がけたのが、電子式だったんですよ。ところが時期尚早だったようで、同じ頃に参入した他社はすべて脱落していきました。残ったのは私どもだけ。それでも、殺虫剤は電子式がシェアの半分ぐらいありますし、『必ず電子式が普及する時代が来る』と守り続けてきました。売り上げが伸びていない時に、宣伝費を2倍ぐらいぶっ込んだなんてこともありました」

 ところが、会長となって一線を退いていた2008年7月に発売された商品デザインを見て、不満を爆発させた。

 「サイズが大き過ぎたんですよね。そもそもドラッグストアの棚に入らない。根本的におかしいでしょう。また、大きい商品は売り場効率が落ちるので、小売りが嫌がるんですよね。当時、私は代表権を返上していましたから、誰も見せに来なかった。後で見たらびっくり仰天してね。『何を考えているんだ、直せ!』と言っても、会長の言うことなんて誰も相手にしませんよ。仕方ないから、また社長になってやり返してやる! というわけです。これは私の思いがこもった作品ですからね。もっとかわいくてコンパクトで、手に持ちたくなるようなものでないと」

 こうして生まれた新デザインの「自動でシュパッと消臭プラグ」は、体積比で25%コンパクトになった。見た目もシンプルになった。容器に使う樹脂の量が減ったり、内部の構造を見直して部品点数を少なくしたりした結果、コストを抑えることができた。そこで従来製品は1470円だった価格を、今回は1365円に値下げしたのである。

「自動でシュパッと消臭プラグ」。香りはピュアフローラルやフレッシュシトラスなど5種類。香りに合わせたカラーリングでデザインしている。30〜60分間隔で消臭芳香剤が噴出する。価格は1365円で、付け替えは462円。コンセントにつなぐタイプの「消臭プラグ」(661円)も、同じデザインコンセプトでリニューアルした

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著者プロフィール

中西 未紀(なかにし・みき)

フリーライター。1979年神奈川県生まれ。お茶の水女子大学卒業後、出版社、編集プロダクションなどを経て現職。映画を中心としたエンターテインメント、ライフスタイル全般を手がける。


このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、NBonline編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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