省エネ製品を買うほど、地球温暖化のリスクが高まる――。こんな皮肉な状況が、国内で起きつつある。
ダイキン工業やパナソニック、三菱電機などエアコン大手は、9月からこんなシールを新製品に張り始めた。「家庭用エアコンには最大でCO2(温暖化ガス)3600kgに相当するフロン類が封入されています」。

日本人は毎日、1人当たり約6kgのCO2(二酸化炭素)を排出している。3600kgは、約1年半の排出量に相当する。
省エネ性能を売りにするエアコンに、なぜ、消費者が購入をためらうような情報を表示するのか。
ダイキンの岡田慎也・執行役員はこう語る。「ネガティブな情報を開示することで、今後エアコンを売りづらくなるのは事実だ。しかし、逃げずに問題を見据える必要がある」。
問題とは、家庭用エアコンが構造的に抱える「負」の側面のことだ。
家電リサイクル法の限界
エアコンを省エネ化するには大きく2つの方法がある。
まずは、コンプレッサーなど部品の消費電力を抑えること。しかし「こうした方法は長年の技術改良により、限界に近づきつつある」と日本冷凍空調工業会の岸本哲郎・専務理事は語る。
そこで各社が力を入れているのが、ヒートポンプ性能の向上だ。空気中の熱を有効活用することで、エネルギーの利用効率を高める技術のことだ。ここで重要になるのが、熱交換を担う「冷媒」。熱交換効率が向上するほど電力消費量が減り、省エネにつながる。
最近のエアコンは冷媒として、代替フロン「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」を利用する。HFCは人体に無害で、特定フロンのようにオゾン層を破壊しない。そのため、モントリオール議定書で特定フロンの製造が規制された後、急速に普及してきた。
だがそれは、両刃の剣でもある。エアコンに使う一般的なHFCはCO2の約2000倍と、非常に強力な温暖化効果を持つ物質だからだ。
エアコンの冷却、暖房効率を上げるにはHFCが空気と触れる表面積を増やす必要がある。「冷媒を通す管を細くするなど、技術改良で克服できる」とダイキンの岡田執行役員は話す。だが一般的には、使用するHFCの量を増やすのが手っ取り早い。
ここで、冒頭に述べた矛盾に直面することになる。電力消費量を削減するためには、温暖化物質であるHFCを多く使わざるを得ない。代替フロンの問題に詳しい群馬大学の西薗大実教授はこう指摘する。「最近の省エネエアコンは、以前より横長になり大型化している。これは、それだけ内部に多くのHFCを抱えるようになったことを意味している」。
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