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002|その道にハートはあるのか?
デザインが失った「謙虚さ」

2009年9月29日(火)

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 『DESIGN JAPAN|未来の日本をデザインしよう』ではターニングポイントを迎えた暮らし、社会のための提言や提案をしていきます。その提案を形作るには、まず新しい時代を示唆する哲学が必要です。

 モノであふれかえる今、必要なのはモノのデザイン以上に、その基本理念、思想を形作る新しい考え方なのです。こんな時代、「いったいどこに真理が存在するのか?」「なぜ必要なのか?」、そんなことをデザインを含め考えていきたいと思っています。

 「こと」「もの」を形作る考え方の原点に立ち戻り、「現象」だけではない「本質」の世界へ、そして新しい未来への創造へとドアを開けて行きましょう。自動車メーカーのインハウスカーデザイナーとして25年、日本、ドイツ、米国の地で経験し得たメッセージです。


 「いかなる道もひとつの道にすぎない。心(ハート)に従うかぎり、道を中断してもさげすむ必要はない…。あらゆる道を慎重によく見ることだ。必要とあらば何回でもやってみるがいい。そして自分に、ただ自分ひとりにつぎのように尋ねてみるのだ。この道に心(ハート)はあるかと。心(ハート)があればいい道だし、なければ、その道を行く必要はない」(カルロス・カスタネダ『呪術師と私―ドン・ファンの教え』)

 もう30年近い昔の話ですが、美大に入りデザインのデの字もわかっていない時、恩師ともいえる先輩の本棚から一冊の本を発見しました。現代科学と東洋思想の統合をはかったF・カプラの『タオ自然学』です。

 ブラジル生まれの作家、カルロス・カスタネダからの強烈な引用文でこの本は始まります。私はその発想やそれを取り囲む環境に大いに興味をもちました。

 美大を卒業した後、私は一カーデザイナーとしてその創造活動をスタートしたわけですが、純粋にデザインを考えれば考えるほど「何か本質とは違う」と次第に感じるようになりました。担当していたのは主に日本市場に向けたクルマのデザインの仕事です。

 決して日本のマーケットを否定するつもりはありませんが、クルマの本来のあり方や良さ、人との関係といった本質的な側面が欠如していることに気づき始めたのです。

製品の感動は薄れ続ける

 デザインの質とは社会やその社会の消費の質そのものです。デザインの本質的な狙いは物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさだと誰もが分かっていてもそれは歪んだ理想論でしかありません。

 日本にはモノがありすぎます。多すぎて消費者はモノの価値に麻痺しているように見えます。それでも競争社会の原理は悪化するばかり。製品の感動はどんどん薄れ、デザイナーは違いを求めてオーバーヒートする。つくって、つくって、つくって…。分かっていても止めることのできない構造が出来上がってしまったのです。

 モノがありすぎるということはデザインの基本的な目的から逆行しているとも言えます。では日本にはもはや健全なデザイン環境は存在しないのでしょうか。

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