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自民党の再生を阻む「体質」

出直し総裁選は“本命”不在

2009年9月25日(金)

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 総選挙で衆議院の議席の3分の2を失う記録的大敗を喫し、1955年の結党以来、初めて第1党から滑り落ちた自民党。再生を担うことになる新総裁が9月28日に選ばれる。

 総裁選に立候補したのは谷垣禎一・元財務相と、河野太郎・元法務副大臣、西村康稔・前外務政務官の3人。選挙戦では各候補とも、党再生に向けた改革の断行を掲げた。だが実態は、立候補に必要な推薦人集めの段階から派閥の力学が影を落とす旧態依然ぶりだった。

 谷垣氏は当選10回の64歳。総選挙大敗の“戦犯”である党役員や麻生太郎内閣の閣僚、派閥の領袖などを除いた場合、「最も順当な総裁候補」(古賀派の中堅議員)として登場した。谷垣氏が「全員一体となって当たっていく」と強調するように、18日の同氏の総裁選出陣式には、党内8派閥すべてから70人余りが集結。「ベテラン+派閥」の力を見せつけた。

 一方の河野氏は当選5回。「挙党体制を免罪符に、誤った考えを党内に残すことはできない」と、谷垣氏との対決姿勢を鮮明にした。河野氏は中堅や若手の一部から支持を集めて立候補。本来は「中堅+若手」の後押しを一身に受けたいところだが、過激な主張や、派閥領袖らの「主流派」と折り合いが悪い中川秀直・元幹事長らが支持することもあり、距離を置く議員も多い。

 若手からはもう1人、当選3回の西村氏が立候補した。西村氏は「私が総裁選に出たこと自体が自民党が変わる一歩」と強調したが、党内では素直にうなずく向きは少ない。西村氏は9月に退会するまで町村派に所属。森喜朗元首相や町村信孝氏に近く、立候補は「森氏主導の中堅・若手の分断作戦ではないか」との見方がくすぶる。

ついて回る「古い自民党」

 だが、3氏のいずれが総裁になっても前途は多難だ。谷垣氏は、ついて回る「古い自民党」のイメージを払拭できるかが課題。世代交代を過激に主張する河野氏には、ベテラン議員の反発が強く、挙党体制はおぼつかない。西村氏は仲間内からも「全く無名」と言われるほど知名度が低く、求心力不足は否めない。党改革を担う「本命」不在の総裁選なのである。

 「長年、政権につき与党ボケしていた」(平将明・衆院議員)せいか、「自民党には人材がいないということが鮮明になってしまった」(塩崎恭久・元官房長官)といったぼやきも漏れる。それを裏づけるような結果が、緊急アンケートからも読み取れる。

 自民党が再生するためには「何を最も改めるべきか」を聞いたところ、「世襲議員が多く、高齢化も進んで人材の魅力がない」点が、27.9%と最多。「政官業のトライアングル構造」(22.7%)や「構造改革路線の後退」(16.8%)、「派閥が力を持つ仕組み」(14.9%)を大きく上回った。

 清新な人材を輩出できなくなった背景には自民党の「体質」がある。最大の構造が世襲だ。世襲の定義を、(1)国会議員の親族から地盤を継承する(2)継承していなくても3親等内に国会議員がいる――のいずれかを満たす場合とすると、自民党議員の「世襲比率」は衆院で46%に達した。

 世襲候補は親族の選挙区地盤や後援会組織、資金力などを引き継ぐ。先代の党内人脈もあるから公認が得やすい。これが「優秀な人材の新規参入を阻害」(菅原一秀・衆院議員)している。

 次回の総選挙から、現職国会議員の引退時に、親族が同一選挙区で立候補する場合、公認・推薦をしないことを決めたが、実効性を危ぶむ声が多い。

世襲が「人材力」を落とす

 また、候補者の公募制を実施しても、「公平に選ぶのは容易ではない」(柴山昌彦・衆院議員)と言う。小選挙区の党員は先代議員の支援者であるケースが多く、議員の子弟が応募した場合、ほかの候補がなかなか選ばれないといった問題があるからだ。

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「自民党の再生を阻む「体質」」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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